社長・役員を「総選挙」!大胆経営、なぜ成功? 会社で使う「ごますりエネルギー」は超ムダ

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どんな選挙戦なのか。今年2月、ココシスの関連会社で取締役と執行役員の“ダブル選”が実施された。定員4人の取締役に11人が立候補、同7人の執行役員には19人が手を挙げた。

候補者は入社3カ月の試用社員(24)、パートの女性(28)、ラサール高校・九州大卒の学歴エリート(36)まで幅広く、平均年齢は約30歳。有権者となった従業員は、取締役選挙で4票、執行役員で7票と定数分の投票権がある。

投票日、立候補者は1人10分程度、スクリーンを使って公約をプレゼンテーション。「100年続く企業にしたい」「CRM(顧客満足度向上)チームを立ち上げる」「離職率0%へ」。こういった“政策”に加えて、離婚や倒産経験などを語り、涙ながらに人柄をアピールする候補も。

会長「昇進にごますり無駄」

取締役の選挙結果は、現職3人のうち社長(35)が72票を獲得して再選。残る2人も再選を果たした。新顔8人の競争を勝ち抜き、4位に食い込んだのは、育休から復帰した服部節子さん(33)。2年前の復帰後、社内の託児スペース、ベビーシッター制度の導入などに尽力し、「もっと女性が働きやすい組織」を公約に掲げた。

「これから時短勤務や親の介護を含め、それぞれのライフスタイルに合わせた働き方の見直しを進めていきたい」。取締役となり、年収は倍増するという。

記者が人気取りにはならないのかと聞くと、「小さい会社なので簡単に見透かされます」と新経営陣に笑われた。総選挙の導入後、売り上げは10億円から40億円(2016年度見込み)に急伸。新規採用も増え、従業員は2倍になった。選挙に勝つため、立候補者も必死になって成績を上げ、改革案を考え、それぞれが責任感を持つようになったという。

岡部会長は「仕事をする上で誰が偉くなるのか、ごますりのエネルギーが無駄。誰でもリーダー、スターになるチャンスがある。組織、会社のあり方を変える挑戦ですよ」。ただし、会長職だけは“非改選”のままだ。

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