日本人観光客が激減していた8月のフランス

非常事態宣言下でも変わらない日常に触れた

コンサートホール「バタクラン」では修理が進められていた(筆者撮影)

フランスでは相次ぐテロのため、2015年11月から非常事態宣言が続いている。非常事態宣言下のフランスは、観光客が減少していると聞く。フランスへの家族旅行を以前から計画していたため、少し緊張しながら8月初めにパリへ向かった。

東京からパリへの航空機はほぼ満席だった。しかし、パリの空港で預けた荷物を受け取るターンテーブルの前で待つ乗客は、思いのほか少なかった。どうやら、ほかのヨーロッパの国への乗り継ぎ客が多かったらしい。

空港からタクシーに乗り込む。夫が間違えて車の左側の運転席に乗り込もうとすると、運転手が戸惑いつつ笑った。気を引き締めてパリへやって来たのに、まず笑い声を聞いて心が和む。「私の国では運転席が右側なので」と夫が言い訳をすると、「どちらから」と運転手が尋ねる。「日本から」と答えると会話が始まった。

運転手によると、この夏のパリは「ものすごく」観光客が減ったという。「最近、いろいろあったからね」と、「テロ」という言葉を使わず、悲しそうに言う。「あなたたちは、それでもフランスに魅力を感じるのか」と聞かれ、「はい」と答えると運転手はうれしそうにした。

テロがあったとは信じられない

2015年11月、パリではコンサートホールなどを標的とした同時多発テロがあった。7月14日には、南仏のニースでトラックによるテロが起こり、7月26日には、フランス北西部のルーアン近郊で教会が襲撃された。

11月にテロがあったコンサートホール「バタクラン」の近くへ行く。事件直後、テレビでは、ホール脇の道を人々が逃げる光景が放映されていた。訪れたとき、その道は人通りも少なく静かで、そんな事件があったとは思えないくらいだった。バタクランは歴史的建造物で、東洋風の外観は鮮やかに彩られている。足場が組まれて、修理が進んでいた。周囲にはもう花束もなく、ひっそりとしていた。

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