日経平均の次の上値は1万3600円か 過熱感に注意だが、市場は一段の上昇観測

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 下値余地は限定的だが、米国株の動向に注意

海外勢と個人投資家という株式相場の“両輪”の動きが目立つとあっては、下値余地も限定的だろう。ただ、注意したいのは米国株の動向だ。過熱を指摘する見方が増えており、いったん調整に入れば、日本株がこれにツレ安する展開も考えられる。

ニューヨークダウは日経平均株価と同様、基本的には単純平均の株価指数。このため、値ガサ株の影響をより強く受ける。最近の上昇は一部のダウ採用の値ガサ株人気によって押し上げられた面もある。一方、より広範な銘柄の値動きを示すS&P500種株価指数は8日時点で1551ポイント。07年10月9日につけた史上最高値1565ポイントにあと一歩まで迫っている。同指数まで最高値を上回るようだと、市場全体に目先の目標達成感が広がることも考えられる。

今後の投資対象としては好業績銘柄に絞るのが賢明といえそうだ。東証1部の業種別株価指数の推移を見ると、8日の段階では昨年末から全33業種が値上がりしている。このうち、上昇率トップは「ゴム製品」。国内外での新車用需要拡大を背景に好収益を謳歌するタイヤメーカーなどがリード役を演じている。これに対して、値上がり率が最も小さいのは「電気・ガス」。「円安デメリット」銘柄の代表的存在である。「業績」を物差しにした選別は、すでに始まっているのだ。

4日に発売された「会社四季報」の臨時増刊「超速報!会社四季報春号先取り98銘柄」では、四季報の「材料欄」から新ビジネス、新技術など株価に影響を与えそうな材料が記載された150銘柄をピックアップし、材料とともにいち早く紹介。横浜ゴム、住友ゴム工業両社も含まれている。同増刊号を株式投資などのお役に立てていただければ幸いだ。

 

松崎 泰弘 大正大学 教授

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まつざき やすひろ / Yasuhiro Matsuzaki

フリージャーナリスト。1962年、東京生まれ。日本短波放送(現ラジオNIKKEI)、北海道放送(HBC)を経て2000年、東洋経済新報社へ入社。東洋経済では編集局で金融マーケット、欧州経済(特にフランス)などの取材経験が長く、2013年10月からデジタルメディア局に異動し「会社四季報オンライン」担当。著書に『お金持ち入門』(共著、実業之日本社)。趣味はスポーツ。ラグビーには中学時代から20年にわたって没頭し、大学では体育会ラグビー部に在籍していた。2018年3月に退職し、同年4月より大正大学表現学部教授。

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