「腕時計」の真実をどれだけ知っていますか この蘊蓄100章は思わず人に話したくなる

✎ 1〜 ✎ 48 ✎ 49 ✎ 50 ✎ 最新
拡大
縮小

21. 1904年フランスの宝飾師ルイ・フランソワ・カルティエが「サントス」の原型となる紳士腕時計を考案する

22. 飛行家アルベルト・サントス・デュモンの依頼を受けたもので、飛行船操縦中にも使用できる腕時計だった

23. その洗練されたデザインがパリ社交界で話題となり、1911年カルティエはサントスの市販をスタートした

24. 男性が懐中時計から腕時計へと移行する契機となったのは1914年に勃発した第一次世界大戦である

25. 古来、時計産業が盛んなスイス、大量生産技術を誇るアメリカなどのメーカーは戦後、腕時計分野に転身した

26. しかし当時アメリカにあった高級時計メーカーは1960年代以降、スイスや日本との競合で衰亡

27. ブランド名のみを切り売りする状態となり、唯一存続しているのは大衆向けの「タイメックス」のみである

28. そのためビル・クリントンやジョージ・W・ブッシュなどは国産品愛用アピールにタイメックスを着用した

29. 皮肉にもアルカイダのリーダー、ウサマ・ビン・ラディンもタイメックスの愛用者だったという逸話がある

国産初の腕時計

30. 一方、日本では1881年に輸入時計販売店として創業した「服部時計店」が1913年に国産初の腕時計を発表

31. 「ローレル」と名付けられたこの腕時計の機械部分は、当時、女性用小型懐中時計との共用品であった

32. しかしサイズ等の制約が厳しい腕時計界でスイスやアメリカ製品と比肩するのは難しく評価は低かった

33. 第二次世界大戦後の1950年代も日本の腕時計市場ではスイス製品が幅を利かせ年間200万個が輸入された

34. その陰で日本の腕時計技術は着実に進化し、1955年にはセイコーが国産初の自動巻き腕時計を発売

35. 「セイコーオートマチック」と名付けられたこの時計を契機に精度の高い日本製腕時計時代が幕を開ける

36. 1960年代以降、国内の廉価市場では日本製腕時計が輸入品を圧倒。カメラと並ぶ主要な輸出品となっていく

オリンピックで公式計時機器に採用されたことによってセイコーの名を知らしめた(写真:阿野陽 / PIXTA)

37. さらに勢いづいたのは1964年に行われた「東京オリンピック」でセイコーが公式計時機器に採用されたこと

38. 計時とは競技の際に記録の元となるタイムを計測することをいい、五輪の公式記録を担う最重要ポジション

39. セイコーは「電子時計」を採用し、歴代オリンピックで初めて計時に関してノートラブルを実現した

40. その「計時の正確さ」は世界を驚かせ、以降、日本製腕時計が世界的に認められるようになっていく

次ページ日本の主要メーカーの変遷
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT