"大増税時代"の乗り切り方 賢い相続・贈与から、税務署対策まで

拡大
縮小

中でも「相続税」増税のインパクトは大きい。15年1月以降、最高税率は50%から55%に上昇する(課税対象財産6億円超の場合)。親の財産を子2人が相続する場合、極端な例を挙げれば、相続財産が50億円だと、相続税は何と25億8290万円! しかも納税は、現金かつ一括が基本だ。物納はほとんど認められず、分割なら年14.6%と“消費者金融”並みの延滞税がつく。相続税の申告・納付期限は、相続発生日(被相続人の死亡日)から10カ月以内である。

東京23区では10世帯に1世帯が相続増税

今回の相続増税は、一見、富裕層にのみ関係するように見える。が、その見方は少々甘い。「最高税率の引き上げ」とともに、もう1つ大きいのが、「基礎控除の縮小」だ。基礎控除とは、相続税を計算する際に、無条件で課税対象から差し引かれる金額。この金額が改正で4割縮小し、課税対象者の範囲が大きく広がりそうなのである。

現行の基礎控除は、「5000万円+(1000万円×法定相続人数)。これが15年1月1日からは、「3000万円+(600万円×法定相続人数)に縮小する。

具体的に見てみよう。父が死亡、母・子2人が相続する場合。現行では、5000万円+(1000万円×3人)=8000万円までが非課税だ。これが改正されると、3000万円+(600万円×3人)=4800万円まで、非課税枠が縮小する。この金額を超えた分から、課税対象になってしまうのだ。

相続財産とは、現預金、株など有価証券、不動産のほか、保険金や故人の退職金も、「みなし相続財産」の扱いでカウントされる。4800万円というと、大きな金額の印象があるが、自宅の建物・土地も含めれば、意外にハードルが低い。

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