白川・日銀新総裁、難問山積にどう挑む

白川・日銀新総裁、難問山積にどう挑む

日銀総裁人事の経緯は、思い出すのも煩わしいような低俗なドタバタ劇に終始した。結局、副総裁に就任していた白川方明氏が総裁に昇格就任する決着となった。白川氏が120年余りの日銀史の中で最も在籍期間が短い副総裁の記録を樹立したことは間違いない。白川体制がスタートしたとはいえ、白川氏の昇格で二つある副総裁ポストの一つは空席のままだ。

「ワシントンで開催のG7(先進7カ国蔵相・中央銀行総裁会議)があったからこそ総裁人事を急いだ。G7が終わってしまったので、もはや、副総裁人事を急ぐ理由がなくなった。当分、副総裁は空席のままではないか」
 大手銀行の首脳はこう言って冷笑を浮かべる。確かに、何のための日銀トップ人事だったのか。今回の出来事が歴史的なお笑い草になったことだけは確実だ。

景気、財政、円相場… 国内外で視界不良

しかし、国内外の経済情勢に目を向けると、笑いは一挙に消える。率直に言って、白川体制は微妙な経済情勢の中で誕生した。それを物語る出来事があった。

4月8日、ニューヨークのエコノミッククラブで講演したポール・ボルカー元FRB(米国連邦準備制度理事会)議長は「ドル危機かどうかを推測する必要などない。もはや、ドル危機なのだから」と語った。ショッキングな発言である。有力外国新聞は、そのボルカー講演の直後に開催されたG7のことよりも、ボルカー講演の内容のほうを大きく取り上げたほどだ。

日本経済はボルカー氏が懸念したような情勢の中にある。懸念が一段と表面化すれば、ドル安・円高が大幅に進行するリスクがある。円高は原油など資源価格高騰を吸収する効果がある反面、交易条件の悪化で輸出に響く。輸出数量減が歴然とすれば、実体経済の悪化につながっていく。

一方で、資源価格の高騰を受けて、国内の消費者物価は最近、前年比1%幅の上昇に転じた。

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