事後レポ

稼ぐ力を引き出すビジネスモデル・イノベーション

中小企業の課題を解決し、未来を切り開く戦略を検討する「中小企業の生き残り戦略 稼ぐ力を引き出すビジネスモデル・イノベーション」が7月、さいたま市大宮区の武蔵野銀行本店で開かれた。経済動向、テクノロジーの活用や事例、イノベーション創発などのテーマについて、それぞれの専門家らが講演。中堅中小企業の経営者らが熱心に耳を傾けた。

[共催]
武蔵野銀行、ぶぎん地域経済研究所、セールスフォース・ドットコム
東洋経済新報社

【基調講演】経済動向・ファイナンスの視点
日本の景気は正念場
~3つのポイントに注目~

ぶぎん地域経済研究所
専務取締役
土田 浩

日本銀行から2016年6月、ぶぎん地域経済研究所専務取締役に就いた土田浩氏は、過去30年の日本経済の動向を振り返った。1985年のプラザ合意、円高不況に始まる金融緩和の継続がバブルを生成し、91年のバブル崩壊に至る時期を「戦後日本経済の転換点」と指摘。その後の年平均約1%の低成長について「ずっと景気が悪いわけではなく、成長率が下がった結果」と説明した。現在は、リーマンショックからの回復過程にあり、13年にアベノミクスで好転した経済指標も、14年の消費増税による反動減後は、横ばい状況が続いているとした。景気の先行きを占うポイントについて、土田氏は、海外需要・輸出を支える新興国景気の底入れ時期、円高による影響が懸念される16年度設備投資計画の実現性、実質所得が上昇に転じた後も低迷が続く消費マインドの改善、の3点を挙げた。

経済政策については「現在はほぼ完全雇用の状態にあるものの、景気が落ち込めば、貴重な人材がドロップアウトする恐れがあり、社会にとって大きな損失になります」と訴え、雇用の安定を強く意識した金融・財政政策をとるべきと強調。埼玉県経済について、圏央道周辺の流通センターを中心に事業所数が増え、首都圏の1都3県で比較しても好調を維持していることから「まだ発展の余地が大きいと感じます」と話した。

【課題解決講演】テクノロジーと経営の融合
中小企業の『攻め』を生み出すクラウド戦略
~事例に見る成功の秘訣とは~

セールスフォース・ドットコム コマーシャル営業
第3営業本部
第3営業部 部長
植松 隆

世界約15万社が利用する顧客管理・営業支援プラットフォームをクラウド上で提供しているセールスフォース・ドットコムの植松隆氏は「今、求められているのは顧客を中心に考えたセールスです」と訴えた。同社製品は、顧客情報と、見積書や提案資料などの商談情報、日報やスケジュールなどの活動情報を一元的に集約し、顧客軸で見られるようにすることで、情報を活用しやすくする。活動や案件のシンプルな報告を入力すれば、商談の進捗状況を把握でき、営業担当の円滑な対応、上司の的確な指示を促す。

また、社内SNS機能を使って、上司とやり取りすることで、営業のノウハウが蓄積され、可視化される。クラウドサービスなので、初期投資が抑えられ、モバイルアクセスが容易なのも魅力だ。日本国内でも、大手企業から中小企業まで約1万社が同社製品を導入しており、豊富な活用の成功事例からビジネス戦略を学ぶことも期待できる。植松氏は、業績や商談状況をリアルタイムで把握することで、店長が経営の視点を持てるようになった徳島県の自動車ディーラー、顧客情報を徹底的に活用することで業界標準の2倍超になるリピート95%を達成した愛知県のペットトリミング会社の事例を紹介。「われわれと一緒に攻めのセールスを考え、企業価値の向上を図りましょう」と呼びかけた。

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