「レイバン」から農家。地方で家業を継ぐ難しさ 武将の末裔が育てる「菊」

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――ご両親と3人で働いているんですよね。親子ゲンカになったりはしませんか。

親父は温厚だし僕もそんなに怒るタイプではないので、自己主張のぶつかり合いはないですよ。母親はサバサバしていて動じない人。戦国武将の子孫ですからね(笑)。家を出て外の仕事に就いている弟2人を含めて、それぞれがやりたいことをやっている家族です。学生時代は「菊の仕事はやりたくない。ロンドンに行きたい!」と思っていましたが、今はアットホームな環境で花の仕事をするのもいいなと感じています。

菊の生産全般は父が主にやってくれているので、僕は栽培の見習いをしつつマーケティング業務もしています。特にホームページはこだわったものにしたくて、名古屋のWEB制作会社に依頼して和風でかつモダンなイメージのものを作りました。大谷吉継など戦国武将に関するコンテンツの更新を楽しみにしてくれている方もいます。

これからはwebで菊を売る時代?

――農業にもマーケティングが重要な時代なのですね。

普通の農家では生産に追われて、マーケティングを考える余裕はないかもしれません。うちは家族で役割分担ができているので、僕がまめにブログ更新などをやっています。今後、Webでも受注できたらいいなと思っています。

短い会社員生活を振り返ると、PRや広報も含めた広い意味でのマーケティングが(キャリアの)芯の部分でした。マーケティングという専門は変えずに、別業界に転職する人も少なくありません。僕は農業にマーケティングの視点を取り入れたつもりです。品質だけで差別化するのは難しいですからね。

――小売りなど消費者に直販をしているのですか。

今のところ直販はやっていません。全国の卸問屋を経由して市場に卸しています。「戦国武将ゆかりの黄菊」というコンセプトを、新聞の掲載記事などを通じて問屋さんにプレゼンしています。

でも、「ああ、そうなんですね」で終わってしまって小売店に情報を伝えてくれるケースはまだ少ない。たまに「荒木さんの菊を指名して買ってくれた客がいるよ」と伝え聞く程度。今後は葬儀会社やスーパー、花屋といった小売りへのPRもしていくつもりです。趣味の英語を生かして海外展開もしたいと思っています。花だけでは難しいので、お茶などと組み合わせて日本文化として輸出できたらいいですね。

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