リオ五輪にしらけムードのテレビ関係者たち メダルラッシュと長時間放送の裏で何が?

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また、各界の専門家をそろえたコメンテーターたちにとっても、番組がリオ五輪に染まるのは歓迎せざる状況と言えます。元アスリート以外のコメンテーターは、専門外のコメントを求められると、「すごいですね」「おめでとうございます」などの淡泊なフレーズに終始する人がほとんど。コメントを振るほうも「この人に振っても……」、振られたほうも「自分に振られても……」という微妙な空気が流れてしまうのです。

アナウンスルームのムードが暗い

先日、某民放局のテレビマン数人と話す機会があったのですが、口をそろえるように「アナウンスルームのムードが暗い」と言っていました。

その理由は、先述した情報番組やワイドショーに出演するアナウンサーの疲れに加えて、イレギュラーな番組編成とリオ五輪出張組に対応しなければいけないから。不在アナの番組出演や事務仕事などの穴埋めに追われて落ち着かない日々が続き、「スポーツ大好きな中堅アナウンサーですらやつれている」と聞きました。

もちろん、すべてのテレビ局がそうなのではないかもしれませんが、少なからず似た状況があるのは間違いありません。天災などの大事が起きたときと同じように、イベントの規模が大きくなるほど、時差などでイレギュラーの要素が高まるほど、駆り出されるアナウンサーの数が増え、アナウンスルーム全体の負担が大きくなるようです。

もう1つ、テレビ局内で暗いムードの部署は、イベント事業部。近年、民放各局は夏の一大イベントを行っていますが、今年もフジテレビの「お台場みんなの夢大陸2016」、日本テレビの「超☆汐留パラダイス2016SUMMER」、テレビ朝日の「夏祭りSUMMER STAION」、TBSの「デリシャカス2016」が開催されています。

今年は書き入れ時の8月にリオ五輪があるため苦戦必至。各局のイベント担当者は、アトラクションやグルメメニューなどを例年以上に工夫することで、集客力と収益性を高めようとしています。しかし、私が某局のベテラン担当者に聞いたところ、「お盆前後の結果が出てからでないとわからないが、リオ五輪の影響か、客足が鈍い」と言っていました。

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