教師は英語を教えるな! ビジネスパーソンの英語学習法(その3)

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そこで、スピーキングテストを目標とした場合の、講師の指導法・研修の構成について提案をしたいと思います。

スピーキングを指導する英語の講師は、英語の能力が高く、英語で話せるのが理想かもしれませんが、必ずしもそうでなければならないわけではありません。基本的な発音の知識があり、生徒と一緒に学ぼうという気持ちさえあればよいと思います。スピーキングテストのスコアが150点を超えていれば、もう講師の側に立つことができます。

大切なのは、補助教材としての音声教材をしっかり準備することです。私自身は、音声教材には、センスグループで区切ったリピーティング用の素材と、ノンネイティブ向けの遅めのスピードで読まれたシャドウイング用の素材を準備しています。

講師は教えなくてよい

講師は、本当に基本的な発声法や舌や歯のポジションなど、基礎事項について解説はしますが、研修は基本的に生徒のプラクティスを中心に進めます。あくまでもコーチングに徹するわけです。以下は、私の研修のパターンです。

1.日本語で、文の意味内容、語彙について解説する。また、注意すべき発音のポイントやリエゾン箇所、弱形・強形など、文の中で押さえておくべき箇所を説明する

2.ネイティブの音声を聞かせる

3.ネイティブの音声を流し、数回リピーティングさせる

4.ネイティブの音声を流し、数回シャドウイングさせる

5.自分自身が生徒の前で一度読んでみる。ノンネイティブで高得点の講師であれば、生徒にとっては、ネイティブ音声より現実味があり、よい目標になる

6.生徒に順に読ませる。読み終わった後には皆で拍手して褒める。講師は1カ所程度改善アドバイスをする。このアドバイスはあら探し的にならないよう、あくまでもポジティブに

7.生徒には練習用に音声素材を配布する

ネイティブの講師であれば、CDを使わなくても、自分の声でリピーティングをさせることができるので、もっと楽です。ノンネイティブの先生方は、CDの音声を大いに活用しましょう。大切なのは、自分が話すのではなく、生徒にたくさん練習させることです。スピーキング指導の講師は、教える人ではなく、盛り上げ上手な司会者であればよいのです。

次回は、応答問題を素材に自分の周辺の情報を口頭で伝えるための学習法・研修法についてお話ししたいと思います。お楽しみに。  

安河内 哲也 東進ハイスクール・東進ビジネススクール講師

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やすこうち・てつや / Tetsuya Yasukochi

1967年福岡県生まれ。上智大学卒。予備校講師、教育関連機関での講演などで実用英語教育普及に従事。著書に『子どもの英語力がグンと伸びる最強の学習』(扶桑社BOOKS)など。

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