「4種類の集中」を知る人はガス欠にならない 目標設定は人間の脳を刺激する有効な方法だ

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ネガティブをポジティブに置き換えることはパフォーマンスを最大化するために重要なこと。嫌いな人と同組になってしまったら、「いかなるときにも自分の世界を作り上げ、その中で粛々とプレーするための練習」と思えばいい。ターゲットはどこか?風は?弾道は?このようにいろんなことが頭に浮かんだとしても、ひとたび判断を下したら、その後は考えることをひとつだけに絞ることで思考は最大化されるという。

「フィニッシュを高く取る」ことしか考えないというのも一考。スイング技術そのものではなく「ベルトのバックルの位置を意識する」とか、「フォロースルーでは黄色いマーカーで空中に絵を描いている意識を持つ」などの工夫も効果があるそうだ。

4種類の集中を状況に応じて切り替える

5つ目の「集中」は、とても興味深い。ラードン博士は集中には「外側の集中」「内側の集中」があり、さらに「広い集中」「狭い集中」があるという。たとえば、野球でバッターボックスに立ったバッターがマウンドに立つピッチャーに注ぐ集中は「外側の集中」。しかし次の瞬間、バッターの集中はバットを振るための自分自身のからだの動きへ移行する。これが「内側の集中」だ。

試験前に勉強時間が5時間あるとき、5時間すべてで必死に準備しようと躍起になるより、45分集中したら15分休んだほうが、新鮮なマインドで吸収力が高まるため効果的。「広い集中」で漫然と備えるのではなく、ここぞというところで凝縮した集中力を発揮するのが「狭い集中」だ。ゴルフでは、これら4種類の集中のどれも必要だが、それらを状況に応じて切り替えることが大切だ。

ラウンド終盤に集中力が切れ、「ガス欠状態」になる人はラウンドの始まりから終わりまで「狭い集中」を維持しようと躍起になっているはず。ショットするときだけは「狭い集中」を保ち、ショット後は「広い集中」に切り替えることができれば、メンタルエネルギーを維持しやすくなる。

そして、集中力を切り替えるためのトレーニングやトラスティング(信じること)、ショット前のビジュアライゼーションといった手法がラードン博士によって示されている。

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