成功を続ける人は、「祝う」ことを軽視しない 43人の世界記録保持者を育てた名将の心得

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こうした祝いの形があると、スイマーであっても、コーチであっても、編集者であっても、だれもがそれまでの努力に意味があることを認識します。あらためて意味を認識すると、次の目標に向かうモチベーションが高まるのです。

マイケルがカムバックして、2016年リオ五輪をめざすことがわかった後、1人の記者がマイケルの試合の目標をスクープしようと、しつこく聞いてきました。

「マイケルはリオでどの種目に出るつもりですか? どの記録を更新するつもりですか?」

「そう聞かれてもね。彼の目標を人前で話したことはないし、まだそんなときじゃない」

彼がカムバックしたのは、退屈だったからでも、充実した日々ではなかったからでもないでしょう。彼は複数の目標を持っています。私が勝手に発表することはできませんが、そのいくつかは非常に意義のあるものです。もしそれが実現したら、「史上最強の五輪選手」という彼の名声はさらに強固なものになるでしょう。私はそれを確実に実現させるつもりです。

マイケルがこれから迎える冒険のすべてに成功するかどうか、予想はしません。しかし、彼はキャリアを通してずっと、「今日の努力が偉大な明日を作る」ことを証明してきました。だから、彼の未来はとても有望に見えます。

結果がどうであっても「次のチャンス」は必ずやってくる

あなたも同じような場面に置かれることがあるかもしれません。そして、1つの目標から次の目標に移るとき、うまくいかないことがあるかもしれません。

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何年も目をつけていた事業を買ったら急に景気が悪くなったとか、楽しみに待っていたツアーの前にひざを痛めて延期しなければならなくなったとか、キャリアを選ぶ際に右を選ぶべきなのに左を選んでしまったとか。

それが自分のせいの場合もあれば、自分がコントロールできないものの場合もあります。そんな状況に動揺して、もう自分の夢は消えてしまったと思うかもしれません。

そうしたときは、このことを思い出してほしいのです。「練習してきた通りのストロークで泳ぎつづけるスイマーのように、前に進みつづけよう。それまでに成し遂げたことをしっかりと祝おう。そして、それまでに身につけた知恵を使おう。あなたの目的地はあなたが思っているよりもずっと近くにあるかもしれないのだ」と。

ボブ・ボウマン 水泳アメリカ代表コーチ

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ぼぶ ぼうまん / Bob Bowman

サウスカロライナ州コロンビア生まれ。フロリダ州立大学で心理学専攻。アメリカ水泳連盟のエリートシニアプログラムで選手の育成に携わり、ノース・ボルティモア・アクアティック・クラブ(NBAC)でもエリート育成プログラムを担当。マイケル・フェルプスをはじめ、多くの金メダリストを育成。

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