サマンサタバサ、静かなる“出直し" 不振事業を次々と整理、本業に立ち返る

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エイトミリオンは、「イヴ・サンローラン」など、海外の高級ブランド商品を販売するセレクトショップとして08年にオープンした新規ビジネスの一つだ。ところが、運悪くリーマン・ショックと重なり、売れ行きは当初の見込みと外れた。直近では、年間数億円規模の赤字を出し続けるお荷物的な存在となっていたが、ついに昨年の暮れ、クリスマスの日に銀座の旗艦店をひっそりと閉鎖した。

主力のバッグについては、黒字だが低採算となっている「サマンサタバサ」系の派生2ブランドを12年度中にやめて、主力ブランドへ統合。すでに5店舗を閉鎖したほか、基幹ブランドへの業態変更も順次進めている。今春にはさらに広告塔の役割を果していた赤字の大型店舗を閉鎖するという計画もあり、事業の採算性を重視する構えだ。

ネット通販「スタイライフ」を切り離し

サマンサタバサはこれらに先駆けて、不振事業の整理も進めてきた。07年に連結子会社化したネット衣料品販売国内3位「スタイライフ」の切り離しである。これこそが前年度の大幅な売り上げ減の要因だ。

サマンサタバサは、ネット販売や通販雑誌「Look!s」との相乗効果を狙ってスタイライフを買収したものの、業績は芳しくなく、12年3月期は4億円程度の営業赤字とグループの足を引っ張っていた。サマンサタバサは12年5月に子会社を通じて保有していたスタイライフ株を楽天に一部売却。連結子会社から外し持ち分法適用会社として、連結売上高で53億円の減収要因となった。今年3月にはさらに残存株すべてを手放し、持ち分適用会社からも外れる。

サマンサタバサが勢いを増していた07~08年ごろに、さらなる業容拡大を狙って一気に手を広げた事業は、ことごとく成果に結びつかなかった。こうした不採算事業が足を引っ張ったこともあり、09年以降は成長が停滞。収益力は落ち、売上高も300億円前後で成長が止まっている。

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