素人経営国家・ニッポンは衰退する 日銀総裁人事に見る、日本経済低迷の理由

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しかし、それと、日銀を馬鹿にすることとは異なる。あたかも、日銀という組織と、そこに属する人々が何もわかっておらず、政治家という経済にも金融にも素人な人々が、「我々の意見を理解させなければいけない」、というのは世界でも歴史上も、例を見ない。

政治家も、メディアも一般世論も、そして有識者と言われる人々の一部ですら、自国の中央銀行を馬鹿にする。これはあり得ない事態で、日本経済を不幸にする。

すなわち、健全な素人以下であり、専門家は必要ない、学者も日銀内部の専門家も必要がない、その英知を動員する必要はない、むしろ害悪だ、という議論なのだ。

学問も専門家も排除され、健全な素人が(健全であるかどうかは不明であるが)運営する日本経済は、学問と専門家を総動員した他の経済に勝てるわけがないだろう。

したがって、21世紀の日本経済、日本社会は前途多難である。

(撮影:梅谷 秀司)

小幡 績 慶應義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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