「日本食」の極めて明るい未来 りんご、桃、ラーメン、寿司、そして吉野家

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10倍の価格でも売れる日本のリンゴ

さて、本題に入ろう。本日のお題は香港やシンガポールのフルーツ業界に君臨する、世界一高い日本のりんごのことである。そう、日本ではそこらへんのスーパーに一山500円くらいで売っているあの富士りんごが、香港にきたら1つ1000円という破格の値段で立派な棚に飾ってある。そのすぐそばに置いてある中国産や、アメリカ産4つ20香港ドル(200円くらい)の“ワックスでピカピカに磨かれた格安りんご”からの価格競争をはねのけ、連日売り切れ御免を続けている。

そしてその隣の棚には、フルーツ業界でも日本と国際市場を争うライバルの韓国産の梨が、これまた高い値段で売っている。香港でもシンガポールでも、総じてりんごと高級キャベツは日本産のモノが人気があり、梨と柿は韓国産が高値で取引されている。地理的に近く気候も似ているので、両国は農産物の輸出でも競争することになる。

値段が高いのは富士りんごだけではない。読者の皆様に白状するが、私が夏に日本に出張したら真っ先に直行するのが、スーパーの食品コーナーか八百屋さんの桃コーナーである。日本では1個400円程度で手に入る白桃だが、香港や台湾では実に2000円という驚きの高価格で取引されている。

日本では過剰生産でちょっと傷ついただけでジュース用にしてしまう国産フルーツとはいえ、世界に出てみると、日本のフルーツは世界最高峰の品質を誇り、かつ高い需要を集めている。

以前来日した時にテレビを見ていたら、ご自身で作られたりんごをドバイに直接売りに行ってビジネスを急拡大させている青森の農家さんの特集をやっていた。日本の農産物に関して言えば、販路さえ開拓すればジャパンブランドとクオリティの農産物の未来は極めて明るい。しかしながら農業の大規模株式会社化や上場が実現しておらず、アメリカのドールやサンキストに当たる農業メジャーが日本にないことは極めて残念だ。

別に小規模農園が駄目だとは言っておらず、個人的、心理的には強く応援したいが、 “日本の農家が大きくなることで獲れたであろう世界の市場”の機会費用があまりに高いことを、海外で実感する今日この頃である。

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