ファミマ、外部からトップを招いた理由 海外で百戦錬磨、伊藤忠出身の中山・新社長に聞く

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なかやま・いさむ
1957年生まれ。81年、伊藤忠商事入社。油脂部、米国出向等を経て、01年油脂部長。12年常務執行役員・食糧カンパニーエグゼクティブバイスプレジデント兼食糧部門長。13年1月より現職。

――ファミリーマートと、もともとかかわりがあったんでしょうか。

ここ3年ほど、インドネシアなどアジアでファミリーマートのパートナーを選定するお手伝いをしていました。ファミリーマートは海外展開において、現地企業と合弁会社を設けるのを基本スタイルとしていて、どのパートナーと組むかはとても重要です。伊藤忠が世界各地に配置している駐在員から情報をもらって、地元の有力企業のリストを作り、片っ端から会いに行きました。

コンコン、と訪ねていくわけです。「ちょっとビジネスの話をしたい。コンビニに興味はあるか?」と。アジアは華僑系のオーナー企業が多いので、そのトップと直接話します。信頼がおけるかどうかを判断しながら決めていきます。

――パートナーはどう選ぶ?

相手の発言に嘘がないかというところですね。交渉に際して、最初の段階で「ここまでは容認できる、ここからは譲れない」と、取引条件を決める。向こうも同じように、はっきりと譲れないところを提示してくれれば、こうやって始まる交渉はうまくいきます。逆に、「とにかくやろうよ」といって、その辺をあいまいにしたまま進めてしまうと、後で「言ったことと違う」とトラブルになりかねない。アジアでも欧米でも、日本でも、腹を割った交渉ができるかどうかが一番大事です。

 海外では日本のクオリティをすぐに実現できない

――海外と日本の違いは?

商品をつくる仕組みが全然違います。たとえばパンを焼く場合。日本だと、豪州や北米、カナダから麦を輸入しているので、よい原料が使えるのですが、国によっては安い豪州産の麦しか買わないなど、調達できる麦の種類が限られてしまいます。中国では自国産の麦が主流で、品質にばらつきがある。ですから、現地にある原材料を使って、すぐに日本のコンビニで売っている商品と同じクオリティのものを作れるかというと、そうはいかない。

そこで、いい原料を求める方法を考えるんですよね。原料をしっかり調達できるパートナーを選ぶのも一つの手です。たとえば、インドネシアでのパートナー、Wingsグループは製粉・製油業も手がけている。その点も、パートナー選びの一つの決め手になりました。原料事情が未整備な国では、川上にプレゼンスのある方々との取り組みは重要なファクターですね。

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