伸びる子の親は日々「好奇心」で生きている 親の姿勢が子どもに伝播するという真実

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しかし、親が示す“好奇心”そのものの影響を子どもは受けるようになっていくのです。ここが重要な部分です。もう一度いいます。

「親の持つ“好奇心”そのものが子どもに伝播する」

ということです。

私はいつも口癖のように

「日々、楽しんでしまおう」

「一見つまらなくみえるものを、面白くしてしまおう」

と言っていますが、要するに、「好奇心」という原動力を動かすがためなのです。これが動きだすと、山根さんに挙げていただいた、博物館や美術館、ワークショップや図書館、偉人の伝記など、これらの活動がすべて生きてきます。

そしてその過程の中で、山根さんが心配されている、「単純作業的な勉強には飽き、学校での授業や学問全般を軽く見てしまい……」ということもなくなります。なぜなら、好奇心によって知的作業や知的内容に興味を持つと、その手段としての「書き取りや計算」が必要だということを実感するようになるからです。

もう少しわかりやすく説明しましょう。

こうすれば好循環が生まれる

確かに書き取り、単純計算は、それだけではつまらないものです。理由は簡単です。日々の生活とリンクしていないからです。しかし、例えば子どもがお菓子作りに興味をもった場合、作り方が書いてある文章を読むには「字」が読める必要があり、分量を知るには「数字」が必要になりますね。

「好奇心」→「興味関心分野」→それに達するための「読み書き計算といった“道具”」

という流れができるのです。

そして、読み書きや計算の練習をするにつれて、自分がワクワクすることや知りたいことを、もっと知ることができるという手応えが出てきます。こうして、

「読み書き計算といった“道具”」→「興味関心分野」→「好奇心」

というサイクルが生まれ、さらに好奇心が強化されていきます。

もちろん、この通りに全てうまくいくとは限りません。人には多様な個性がありますから、単純にこの仕組み通りにはいかないこともあります。しかし、大きく捉えてみると、私のこれまでの経験からは、このような構造になっていることが多いと感じています。

これを機会に、お母さん自身が自らを振り返って、自分がワクワクすることは何なのかということを見つけてみて、お母さんの好奇心を輝かせてみてはいかがでしょうか。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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