「黒田新総裁」誕生でも、4月は円高ドル安に? 市場動向を読む(為替)

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今の円安水準維持には50兆円の追加緩和が必要?!

筆者の試算では、日銀が現在の日米のベースマネー倍率を今年の年末まで維持しようとするなら、それだけで、資産買入等基金を50兆円ほど増やす必要がある。ドル円を90円で維持しようと思うなら75兆円ほど、95円まで押し上げようと考えるのなら95兆円ほど増やす必要がある計算だ。

日銀の次期総裁には元財務官でアジア開発銀行総裁の黒田東彦氏の就任が濃厚となっている。4月3日、4日に予定されている金融政策決定会合は新しい総裁の下での初めて会合となる。日銀の新執行部は従来からのレジームチェンジを訴えるため、その初回会合で従来以上に大胆な金融緩和に打って出る可能性がある。

だが、そこで打ち出される量的緩和の拡充規模が上記の金額に届かない場合、ドル円相場はむしろドル安円高サイドへの調整反落局面を迎える恐れさえあると筆者は考えている。

(撮影:尾形 文繁)

高島 修 シティグループ証券チーフFXストラテジスト

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たかしま おさむ

1992年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入社。99年から為替資金部で欧州担当、米国担当アナリスト、通貨オプションセールスを歴任。2004年チーフアナリスト。10年3月にシティバンク銀行へ移籍。13年5月末からシティグループ証券に所属が移る。機関投資家から高評価受ける。

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