ルンバはスマートホームの「指揮者」になるか ロボット掃除機が束ねる次世代IoTとは?

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話が少し横道にそれたように思われるかもしれない。しかし、これは重要なポイントだ。アイロボットも決して大企業ではない。自分たちの会社の技術がどのような場面で生かせるのかを熟知している集団だ。だからこそ、大胆な発想ができるのだろう。

と、このような話の結論では、大抵の場合、日本の大家電メーカーの悪口で終わるのが通例だ。両社とも創業者がリーダーシップを取れているからこその行動力とも言える。創業者が残っていない大家電メーカーにはイライラさせられる……という意見はよく聞く。

大企業には大企業の強みがある

しかし、一方で大企業には大企業なりの強みもある。市場リーチの広さやラインアップの多さは重荷でもあると同時に、戦略的に展開してスケールを出せる利点もある。問題はそこではなく、現状をどう認識して、自社の強みをどのように生かしていくのか。

IoT時代には発想と視点の転換が必要ということである。従来よりも視点を高く持たないと、見えてこない部分もある。アイロボットの賭けが実るかどうか、まだコンセプト段階だけに見えない部分もあるが、その考え方と決断する姿勢は評価したい。

「ブラーバ ジェット 240」は8月26日発売予定

最後に、今回の新製品について触れておこう。

新製品「ブラーバ ジェット 240」は床拭きを自動で行うロボット掃除機。10枚セットで1200円という(床拭きに使う)ディスポーザブルパッドには洗剤がしみこませてあるそうで、水を吹き付けてゴシゴシと振動でキレイにする能力は実に高そうだ。

サイズも小さく日本の住宅でも使いやすいだろう。ランニングコストが気になる人には、オプションで選択可能なパッド(洗剤はしみこんでない)も利用できる。実はルンバユーザーではない筆者だが、この製品ならばフローリングの多いわが家でも活躍してくれそうだ。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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