キリン、解約金などで純益予想を上方修正  ビール類販売は下方修正

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 8月4日、キリンホールディングスは、2016年12月期の連結当期損益予想を600億円の黒字から800億円の黒字(前年は473億円の赤字)に上方修正した。写真は宮城県仙台市で2012年3月撮影(2016年 ロイター/Yuriko Nakao)

[東京 4日 ロイター] - キリンホールディングス <2503.T>は4日、2016年12月期の連結当期損益予想を600億円の黒字から800億円の黒字(前年は473億円の赤字)に上方修正した。海外でのライセンス販売終了に伴う解約金などを特別利益に計上したため。ただ、ビール類(ビール、発泡酒、新ジャンル)の販売数量計画の下方修正などにより、連結売上高計画は引き下げた。

ライオン社がアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABI)から委託を受けて、豪州で販売していた輸入ビール「コロナエクストラ」などの販売委託契約が9月30日で終了。これは、ABIがSABミラーと経営統合するにあたり、販売権をSABミラーに移すため。キリンは、ABIから解約金の支払いを受けとるため、当期益の修正となった。

ビール類の販売数量が計画を下回っていることなどから、連結売上高は2兆1400億円から2兆0800億円(同5.3%減)に引き下げた。

1―6月期のビール類の販売は6.8%減と大きく落ち込んだ。これに伴い、通期の計画も0.9%減から2.6%減へと引き下げた注力する「一番搾り」の好調などを背景にビールの計画は引き上げたものの、上期で落ち込みが大きかった発泡酒や新ジャンルの計画を下方修正した。下期には、販促やキャンペーンで需要喚起を図りたい考え。

一方、営業利益は、協和発酵キリン <4151.T>の業績が上振れたことを織り込み、1250億円から1270億円(同1.8%増)へと引き上げた。トムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト13人の営業利益予測の平均値は1315億円となっている。

課題となっているブラジルキリンは、1―6月期の営業損益が74億円の赤字(前年同期は44億円の赤字)へと赤字幅が拡大した。伊藤彰浩・取締役常務執行役員は会見で「前年下期から進んだレアル安の影響を大きく受けたが、上期で影響は出尽くした。販売モメンタムの回復している」と述べ、下期の増益基調は「可能」とした。

16年1―6月期の連結売上高は前年同期比5.8%減の1兆0081億円、営業利益は同1.5%増の588億円となった。

 

(清水律子)

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