政治オタクも感動させた「百合子マジック」 世界のキーパーソンは女性たちになっていた

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2005年の小泉郵政解散の際には、小池氏は兵庫から東京へと選挙区を変えて郵政民営化に反対する自民党議員に対する「刺客第1号」として落下傘候補となった。片山さつき氏や佐藤ゆかり氏なども女性刺客として名を馳せたが、この年の初当選組には今週行われた内閣改造で防衛大臣に就任した稲田朋美氏も含まれている。無党派の風が吹いた年は、政界に意外な人材が供給されるようである。

その無党派の風が吹かなくなって久しい。2009年衆院選で民主党がボロ勝ちし、政権交代が起きてからというものは、無党派層は「第三極」を目指すようになる。ただし維新の会もみんなの党も、離散集合を繰り返して中途半端なことになってしまった。このまま投票率は上がらず、安倍自民党の連勝を許すだけなのか。野党4党は選挙協力という手段に打って出たが、それでも先の参院選では「改憲勢力の3分の2」を許している。

風の起こし方を知っていた

ところが小池百合子氏は、風の起こし方を知っていた。今回の「百合子マジック」はごく簡単。既成政党に楯突いたのである。自民党が桜井俊前総務事務次官をくどいていた6月29日、小池氏は先手を打って出馬会見を開いてしまう。「崖から飛び降りる覚悟で挑戦したい」とジャンケンを先だししたのが技能賞で、これで桜井パパは出られなくなった。だって与党が割れちゃいけないと思うから。でも、ひんしゅくをかって与党からバッシングを受けることこそ、彼女の狙い目だったのだ。

東京都知事選は魔物が棲むという。かつては自民党が連戦連敗を繰り返した屈辱の戦場である。なにしろ国民的アナウンサー(磯村尚徳氏)、官僚機構の頂点(石原信雄氏)、国連のNo.2(明石康氏)を担いで3連敗している。石原慎太郎氏というお化け候補者が出た後に、とうとう自民党の方から都知事にすり寄った(幸いなことに、自民党東京都連にはご長男がいた!)。それでしばらく忘れていたけれども、東京都民は政党ではなくていつも候補者で選ぶのだ。

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