BELS

BELS、始まる 省エネ性能の高い建物は地球にも財布にもカラダにも優しい

拡大
縮小

それだけではない。岩前教授が7年以上の間、のべ3万人を対象に行ってきた調査によると、省エネ住宅への引っ越しによって気管支ぜんそくやアトピー性皮膚炎、関節炎、アレルギー性鼻炎などさまざまな症状の改善が認められたという。また断熱性を高めることは家の長寿命化にもつながる。住宅の寿命を短くする主原因である内部結露を断熱によって発生しにくくすることができるからだ。

「日本では断熱についての誤解がいまだ根強く残っており『断熱で身体が弱くなる』『昔からなかったから必要ない』といった声をよく耳にします。しかし欧米において住宅の断熱性能を高めることはもはや常識であり、健康への関心が高まっている日本でも今後そうした省エネ住宅が普及していくことを期待しています」(岩前教授)

BELSの影響は国家にも市民にも

それではBELSでは建築物の省エネ性能をどう評価するのか。制度を運用する住宅性能評価・表示協会の宇治田裕子氏はその仕組みについて次のように解説する。

住宅性能評価・表示協会
宇治田 裕子

「BELSでは建築物に導入される設備機器の仕様から年間の設計一次エネルギー消費量を算出し、国交省の定める基準一次エネルギー消費量と比較してどれだけ省エネ性能が高いかBEI(Building Energy Index)の値を用いて評価を行います」

算出されたBEIは星の数によって5段階に評価され、たとえば住宅の場合ではBEIが0.8以下の建築物は5つ星の最高評価となる。細かい計算がわからずとも、星の数が多ければ、省エネ性能に優れた建物と認識できるわけだ。

法律による建築物の省エネ規制も17年度からスタートし、2000m2以上の非住宅建築物においては「エネルギー消費性能基準」への適合義務が課される。また、300m2以上の住宅・建築物においては行政庁への届出義務が課される。

14年に閣議決定されたエネルギー基本計画では「20年までに新築住宅・建築物について段階的に省エネルギー基準への適合を義務化」としており、大きな流れとして、今後建物の省エネ化への意識が高まると見て間違いないだろう。何しろ、エネルギー消費量を削減することは国家レベルの課題であり、一方で省エネ住宅は私たちの暮らしにもさまざまなメリットをもたらすのだ。

建築物の省エネ性を評価・表示するBELSの普及により省エネ物件が身近なものとなり、省エネ性能によって物件を選ぶことが当たり前となることを期待したい。

次ページでは、実際どこにBELSを依頼すべきか
お問い合わせ
住宅性能評価・表示協会
 03-5229-7440
ウェブサイトはこちら