日産"ブラジル子連れ赴任ママ”、腹の決め方 1歳、7歳を連れ、いざ地球の裏側へ

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それにしても、小林さんはガツガツした印象がなく、自然体なのに、タフな仕事と2人の子育てを、どうしてこうもうまく両立させられるのか。

「私がうまく両立してきたとは言えませんが、『子どもがいるからこんな仕事は無理』なんて思い込むのは、どうでしょうか。たとえ復帰当初は、時短勤務を取得したにせよ、毎年毎年、子どもは成長するし、夫や家族の状況も変わるもの。それに応じて、ちょっと仕事のペースを上げたり、逆に落としたほうがいいこともありますよね。

ですから、ワーキングマザーは、その時々の状況や仕事への気持ちを整理して、その考えを、毎年毎年、上司に伝えたほうがいい。反対に、上司も、『この子は時短の人だから』なんて決めつけず、毎年毎年、その人の状況や気持ちを聞くべきだと思います」

また、小林さんは昨今のワーキングマザーに多々見られる、時短勤務取得は当然の権利だから使って当たり前、という態度はどうかと言う。

「中には、私は時短だからと、年1回しかない、1日がかりの研修にも行かれませんと言う人もいますが、年に1度の研修くらい、どうにかして行ったほうがいい。また上司も部下に遠慮して、言うべきことも言わない人が多いけれど、本当は『遅刻してでも行ってほしい』と伝えるべきなんですよね。

会社員は、お給料をもらい、社会人として育ててもらったのですから、会社に貢献しなければいけない。逆に、会社は社員のわがままをすべて容認してあげる必要はないと思うのです」

昨今の日本企業は、制度の充実もあり、子どもを育てながら働く社員が増え、もはや子育て中だからといって職場での特別扱いは難しくなっている。

復帰するからには「会社に貢献する覚悟を持つ」――。当たり前のことかもしれないが、そんな基本の心構えが最も重要だと、小林さんは気づかせてくれる。

(撮影:梅谷 秀司)


 

佐藤 留美 ライター
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