東京マラソン、2時間53分で走ってみた 記者が挑戦したビッグイベントの実像と動いたおカネ

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「地味で過酷なだけ」。競技経験のある自分自身がそう思っていた長距離走、まして42.195kmというとてつもない距離を走るフルマラソンに、約3万人もの一般人が参加している光景に、大きな衝撃を受けた。3時間を切るような猛者から、制限時間の7時間ギリギリで走るような人まで楽しみ方は千差万別で、まさにお祭りだった。

「自分も昔を思い出して、いつか東京マラソンを走ってみたい」。刺激を受けて、再びランニングを始めたのがまさに07年春。「東京マラソンをきっかけに火が点いたランニングブーム」とよく言われるが、自らがそれに当てはまっているのである。

大会当日のスタート付近。早い時間から参加ランナーでごった返していた

前置きが長くなったが、再びランニングを始めた原点であり、日本中にマラソンブームを引き起こしたビッグイベントに、今回ようやくたどり着いた。ケニアやエチオピアから来日した世界トップクラスの選手や、日本の実業団で活躍するスター選手などと同じ舞台を走れたのも、感動だった。

詳しいレース内容は割愛するが、記者の公式タイムは2時間53分18秒、男子396位(男子の完走者は2万7827人)。スタートの大混雑で1分半近くをロスしたことを考慮しても実は自己ベストに4分近く及ばず、少し悔しさも残ったが、この大会に出場できたことはランナーとしても、経済記者としても得難い価値があった。そこにかかわる人やおカネの大きさに触れることができたからだ。

沿道で130万人が観戦

冒頭でも触れたように、このビッグイベントには約3万6000人の出走者と1万人以上のボランティアやガードマンなどといった当事者だけでなく、実に多くの人が参加して経済効果を生んでいる。東京マラソン財団が24日に発表した資料によると、今回、沿道で観戦した人は推定で約130万人。同時に開催された「東京大マラソン祭り」には、同じく推定43万人の観客が訪れたという。正確に推し量るのは難しいが、こうして間接的に東京マラソンに参加した人たちが周囲に落としたおカネなどを勘案すると、その経済効果は200億円以上になるという試算もある。

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