新規好調だが、全体では2008年を下回る

2012年の国内投信市場

昨年2012年は、夏ごろまで欧州債務問題の余波を受け、日米欧を中心に世界中の株式市場が乱高下を繰り返した。その後、欧州問題の解決に向けた取組みが発表され、投資家の過度なリスク回避姿勢に落ち着きが見られるようになると、株価は一転上昇した。

また昨年は、米国の大統領選挙や日本の衆議院解散総選挙といった政治イベントも相次ぎ、株式市場の好転と円高の是正に寄与した。この結果、国内追加型株式投信の残高は12月末時点で51.6兆円まで回復した。

一見すると、株価の好転と円安進行によってリスク性金融商品である投信の人気も加速したかのような印象を受けるが、実態は少々異なる。追加型株式投信の設定から解約を差し引いた純設定の年間合計額は、ETF(上場投資信託)を除くと1800億円程度にとどまり、2012年と比べ97%も減少した。

市場が上向いたことで残高は押し上げられたものの、一連の景気不安が残した爪跡はあまりにも大きく、投信の販売は全体で見ると決して好調とは言えなかった。

純流入上位の個別ファンドを見てみると、2012年設定の新ファンドが計4本ランクインした。上位10位以内に新規設定が1本も入らなかった前年と比べると、新ファンドの影響力は大きかったが、上半期に設定されたカバード・コール戦略型の2本(「野村豪ドル債オープン・プレミアム」、「野村グローバルREITプレミアム」)は、12月に流出に転じている。

一方、純流出では「グローバル・ソブリンオープン(毎月決算)」が4年連続のワースト1位に。ただし、流出幅は前年と比べると縮小している。また、4位と6~8位の計4本は、全て昨年の「ベスト10」入りファンドであった。

最後に、ETF(上場投資信託)を除いた国内追加型投資信託を純資産残高の大きい順に2012年末時点と2011年末時点でそれぞれ並べてみたところ、いわゆる「1兆円ファンド」は遂に「グロソブ」1本のみとなった。夏ごろから「短期豪ドル債オープン毎月分配」を始めとする豪ドル債券型への流入にブレーキがかかり、前年に大躍進した多くのファンドが順位を下げた。一方、米国を含む海外リート型は、前年ほどの勢いこそ見られなかったものの、健闘したファンドが目立った。 なお、通貨選択型は、前年比1本減の計6本が上位30位以内にランクインした。

(協力:リッパー・ジャパン)

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