ルネサス、赤尾社長に寄せられた15の質問 「正常化には3年」、臨時株主総会で増資を決議

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――ルネサスは東日本大震災で工場が被災した時、世界中のサプライチェーンに影響を及ぼしたほどのすばらしい会社だ。にもかかわらず、なぜ儲からないのか。

赤尾社長 売上高を増やすためには、営業力の強化が重要な課題と認識している。中でも自動車向けの営業体制強化に向けて、組織変更を行っている。世界シェアナンバーワンのマイコン分野の顧客網を生かし、アナログ半導体やパワー半導体の売り上げ拡大を進めていく。

さらに1月17日には、組織再編も発表した。国内販売子会社のルネサスエレクトロニクス販売を10月1日に本体と統合させる。伸びが期待できない国内市場は、特約店を中心とした間接営業で効率化する。一方で海外を伸ばすために、本体の営業力を強化していく。

「スピード感、十分ではなかった」

写真は昨年12月10日の記者会見に出席した赤尾泰社長(撮影:風間 仁一郎)

――世界的に高シェアなマイコンを持っているのに、なぜ資本増強が必要になったのか。経営としてどう総括する?

赤尾社長 資本増強は、当社が取り組むべき最優先の課題であると考えている。2010年のルネサステクノロジとNECエレクトロニクスの経営統合以降、事業見直しや固定費削減を鋭意進めてきた。

 その途上で、東日本大震災やグローバル経済の環境悪化、円高、日中関係のもつれなどの要因で日本製品の販売が伸び悩むなど、厳しい経営環境が続いた。結果的には当社のスピード感が十分ではなかったということになる。自然災害を含む想定できないことが起きても、事業を継続できる財務基盤の強化が必要との認識がある。今は事業の選択と集中で売り上げが落ちている面もあるが、業績回復に向けて重点分野に対する成長投資の資金が必要だ。

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