「オバマ・安倍会談」の成果は特になし 若手研究者、ジェフリー・ホーナン氏に聞く

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――安倍首相は、オバマ政権に何らかの「土産」を持ってくるのでしょうか。

安倍首相が訪米に際して「土産」を持参するとは思わない。なぜなら、日米同盟に関連する課題について、「土産」を持参できる状況は整っていないからだ。沖縄問題に関して、普天間基地の代替施設についてのコンセンサスはまとまっていないし、自民党の国会議員はTPPの交渉参加にいまだ納得していない。

ジェフリー・ホーナン
太平洋軍アジア太平洋安全保障研究センター准教授
専門は日米関係を中心とする東アジアの安全保障。ジョージ・ワシントン大で博士号(政治学)取得。フルブライト研究員として東京大学留学。米オハイオ州立大東アジア研究センター研究員を経て、2010年より現職。

安倍首相は第1次安倍政権で発足させた専門家パネルを再び招集し、集団的自衛権に関する議論を再開したばかりだ。これらの課題のいずれについても、結論は出ていない。

したがって安倍首相は、何らかの新たな政策を提示する立場にない。もし「土産」がありうるとしたら、日本企業が製造するF-35ジェット戦闘機の部品の輸出を認めることが考えられる。もしくは、日本のハーグ条約締結を可能にするための法案を提出する意思があることを、強調するだろう。

――安倍首相の歴史問題などに関するタカ派的な発言を警戒する声があります。

安倍氏および安倍氏の個人的な考え方について、米国政府が違和感を覚えるかどうかが問題なのではない。これはむしろ、米国の戦略的思考に関連する事柄だ。大統領がアジアを重視する姿勢を表明したのを受けて、米国政府の高官たちは、アジア全体にわたって平穏な関係を維持しようと努めている。

安倍氏の前任の野田佳彦前首相について言えば、安全保障問題に関しては、野田氏もかなり保守的で、安倍氏に極めて近かった。野田政権の下では、先の2つの政権下で短い空白期間があったのち、米国との関係が正常に戻った。

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