保育士の年度途中妊娠・産休は「無責任」か? 「自分なら生まない」…陰湿マタハラの撃退策

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厚労省の調査によると、マタハラの相談件数が過去最多にのぼっている。背景には、どんな事情が考えられるのか。

「以前よりも責任の重い仕事に従事する女性の数が増えたことや、妊娠・出産後も仕事を継続する女性が増えたことなど、色々あるでしょう。

また、10年以上前には、産休・育休制度を備えていない企業も今より多く、妊娠・出産を機に女性は仕事を辞めて家庭に入るのが当然という風潮が根強かったことから、現在ならば『マタハラ』として問題にされるべき事象が看過されてきました。

『妊娠・出産を機に退職を迫られる』、『降格・降給等の不利益処遇を強いられる』、『妊娠・出産を理由に嫌がらせを受け精神的苦痛を被る』などがあっても、被害を受けた本人が相談すらできなかったことが考えられます。こうして見過ごされてきた問題に、ようやく目が向けられるようになったことが大きな要因と言えるでしょう。

仕事と出産・育児の両立は多くの人にとって難しい問題です。優先順位をどう設定するかは、人それぞれ自由に選択できてしかるべきですが、受け容れる社会や職場環境が充分に機能しないと、妊娠・出産を迎える本人や職場の他の人に負担が偏ることになりがちですので、改善が重要な課題でしょう」

寒竹弁護士はこのように述べていた。

寒竹 里江(かんちく・りえ)弁護士
東京弁護士会所属 労働事件(セクハラ・パワハラ等の問題や不当解雇等含む)・医療事件・企業法務(人事・雇用問題等)、その他、多方面の案件を手がけています。
事務所名:弥生共同法律事務所

 

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