シンガポールの執拗さを学んだ中国 中国や韓国からナメられないためには(上)

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北原:私はシンガポールに来てまだ7年目ですが、シンガポールは小国であることを逆に利用して、徹底的なグローバル化を進めていることに驚いています。ともかく、彼のリーダーシップで独立当初は混乱していたシンガポールを世界屈指の裕福な国家にしたわけですから、中国共産党も注目せざるをえなくなったのではないでしょうか。

シンガポールでは麻薬を持っているだけで終身刑

中村:シンガポールが「明るい北朝鮮」と呼ばれるほど、国家管理を徹底したのはやっぱり、リー氏の執ような性格に関係するのでしょうか?

ビンセント:そう思います。シンガポールは街を歩いてもタバコもガムも落ちていない清潔な国になりました。こんな逸話があります。ある時、リー氏がガムを踏みつけて、その後すぐにガムの販売を禁止させたという話もあります。禁煙を守らなければ罰金だし、ツバを吐いても罰金です。鉄砲の所持も禁止。シンガポールでは拳銃を人に向ければ、死刑です。麻薬も持っているだけで終身刑になりますから犯罪のない国になったのです。

ジェームズ:よその国の人から見れば、ちょっと異常だと思うでしょうね。

中村:でも日本人も清潔好きだし、シンガポールは住みやすいから、ある意味、歓迎ですがね。

ジェームズ:経済政策にしても、いったん決定したら戦略がぶれない。だから過去20年間は着実に発展してきています。

中村:日本がシンガポールに1人当たりのGDPで抜かれたのは2007年ですよね。

北原:そうです。GDPだけではなくて教育水準も世界一になったのも1995年頃からです。日本が「ゆとり教育」などと馬鹿なことを言っている時に、世界で最高の教育的競争社会を目指していました。結局、小国が世界に負けないようにするには優秀な人材をいかに育てるかということですからね。

次ページでは、日本は?
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