アップル「日本の雇用創出71.5万人」の根拠 日本市場への投資の成果をアピール

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iOSは、プラットフォームとしては、Androidの5分の1程度の規模だ。しかしApp Storeでの収益は、Google Playの倍近くを維持している。たとえばポケモンGOのような大ヒットゲームは、iPhoneでのダウンロードがAndroidの倍となり、課金額も同じような割合で推移していくと推測できる。

こうした収益性の高さを維持することで、開発者を引きつけ、Androidよりも販売台数が小さい点をカバーしていかなければならない。アップルの雇用に対するアピールは、App Storeの開発者の質・規模の面での優位性を維持する、ひとつの方法と考えることができる。もうひとつの利点は、参入のしやすさだ。iOS10にプリインストールされるプログラミング学習の無料iPadアプリ「Swift Playgrounds」は、教育による優位性への先行投資といえる(関連記事)。アプリ開発者の積極的な開発はiPhoneの魅力を作り出し、アップルブランドの一部となっている。

日本市場への投資の成果をアピール

アップルは、日本でのビジネスを、引き続き拡大させている。それは世界経済やスマホ需要の減速という逆風の中にもかかわらずだ。7月26日に発表された直近の2016年第3四半期決算で、アップルは15%減収となった。特に、米国に次いで第2の市場として重視している中華圏での売り上げが33%減となり、足を引っ張っている格好だ。

そんな環境の中、日本市場は23%増収となり、アップルの地域別の決算では唯一のプラスとなっている。前年同期と比較して約20%の円高に振れていることもあるが、為替変動分がそのままプラスになるほど、日本におけるアップルのビジネスは順調さを維持していることになる。

日本市場はアップルのアジア進出の入り口となっており、現在の規模の上では中華圏がすでに2.5倍にまで拡大しているが、およそ10倍という人口比を考えれば日本市場の重要性の高さがうかがえる。

また、日本国内には865のサプライヤーが存在していることを明らかにした。特に、iPhone向けのサプライヤーについて、具体的な会社名を挙げている。

カメラ部品の製造支援を行うカンタツ(栃木県矢坂市)、高い信頼性と精度の部品を提供する京セラ、2007年からディスプレーのふち取りに使われているインクを提供する帝国インキ製造、10年以上にわたり、環境に配慮したコーティング技術を提供するカシューが、ウェブサイトで紹介されている。

こうした企業において新たな雇用26万9000人が作り出されたという。

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