京浜急行、「水着美女ショー」電車の舞台裏 話題性だけではない「真面目」な事情とは

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列車内のファッションショー

8時22分に品川駅を出発した列車はノンストップで運行し、道中の20分間で6人のファッションモデルが着替えを重ねて20着の新作水着を披露した。9時28分に三浦海岸駅に到着し、スケジュールの進行は予定通り。しかし6人のモデルにとって、走る電車内での歩行やポージングは初体験だった。「立ち止まってポーズを決めるのに苦労しました」と、モデルの松元絵里花さんは苦笑いする。

関東私鉄屈指の猛スピードで走る京急は、途中で結構揺れる場所もある。車内のシートに座った参加者の間を「モデルウォーク」で颯爽と歩く松元さんだったが、電車が揺れて思わず吊り革につかまる一幕もあった。「万が一転んでお客様にぶつかってしまっては申し訳ない」(松元さん)。

よろけそうになったモデルはほかにもいたが、どのモデルも次の瞬間にはきりっと決めポーズを取っていたのはさすがだ。終わってみれば、「通常のファッションショーとは違ってお客様との距離が近く、“かわいい”と声をかけてもらえるのがうれしかった」と、松元さんは語った。

三浦半島の活性化は至上命題

新作水着と抜群のスタイルに参加者はうっとり

電車と水着ファッションショーという奇抜な組み合わせを考えると、話題作りを目的としたお遊び的なイベントのようにも思える。だが、京急にとっては沿線を活性化するための至って真面目なイベントだ。前述のジャズトレインは、川崎市が市を挙げて取り組む音楽フェス「かわさきジャズ」と連動したものだ。また、「サイクルトレイン」は、三浦半島エリアがサイクリストの誘致を積極的に行なっていることから、「遠くて三浦海岸まで走りにいけない」というサイクリストに往復の足を提供するという試みだ。

今回の「京急マーメイドトレイン」は、海水浴シーズンを迎えた三浦海岸活性化策の一つ。京急は沿線の人口減を理由に今年3月に三浦半島における路線の延伸事業や大規模宅地開発事業の凍結を決定した。しかし、三浦半島が京急にとって将来も重要な収益柱であることには変わりない。沿線人口の増加が見込めないのであれば、沿線外から観光客を引っ張ってこなければならない。夏場であれば、「海水浴客にたくさんお越し頂いて三浦海岸を盛り上げたい」(京急広報)というわけだ。この日行なわれた「ガチぬれフェスタ」も京急が三浦市や三浦海岸の海の家と共同で音楽や水を使ったさまざまなイベントを行なうというものである。

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