ライオンが挑む、脱「セール頼み」 日用品の高付加価値化に軸足

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ところが、利益面ではこの販促費が重荷となった。卸値の改定は期初から業績予想に折り込んでいたものの、多少圧縮できると踏んでいた販促費がむしろ膨らんでしまった。

新製品を高付加価値化で差別化

ライオンはこの反省に立って、“店頭セール”頼みの構造からの脱却を図る。要は新製品戦略だ。高単価、高付加価値品の投下に軸足を置く。実際に足元では、菌の発生を予防する超濃縮型の洗濯用液体洗剤や風呂場用の防カビ燻煙剤など、他社にはない差別化をした製品の投入が奏功して、店頭で売り上げを伸ばしている。

ライオンは、新年度である13年12月期の業績見通しを売上高3420億円(前期比2%増)、営業利益100億円(同38%増)とした。売り上げの1割強を占める海外事業は、中国やタイを中心に2ケタ近い成長が続きそう。国内でも、初夏の天候が平年並みに戻る前提で季節商品の回復も期待できる。この計画を達成するには、新製品の高付加価値戦略がカギとなる。

ただ、国内日用品市場ではPBの商品力が上がり、NBメーカーと遜色ない高付加価値化を実現している例も見受けられる。もちろん、NBメーカー同士の商品開発競争も激しい。もくろみどおり、高付加価値化で収益体質を改善できるか。メガヒットメーカーの実力が問われる。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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