日銀の小規模追加緩和で一時円高、9月に政策模様替えへ

物価見通しは0.5%から0.1%に引き下げ

 7月29日、日銀は金融政策決定会合で、国際金融市場が不安定な動きを続けていることを受け、ETF買い入れ額を年6兆円に倍増する追加の金融緩和措置を決定した。写真は都内で昨年6月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 29日 ロイター] - 日銀は28─29日に開いた金融政策決定会合で、上場投資信託(ETF)の買い入れを倍増する追加緩和を決定した。追加緩和期待を織り込んでいた市場は日銀の発表直後、円高に反応した。

当初2年で2%の達成を目指していた物価が足元マイナス圏にとどまっている事実などを踏まえ、9月の次回会合でこれまでの政策効果を検証し、必要ならば政策のあり方を見直し、その上で追加緩和を辞さない姿勢を示した。

<ETF6兆円に倍増、「政府経済対策と相乗効果」>

英国の欧州連合(EU)離脱問題などで不安定化している金融市場や新興国経済の成長鈍化が企業や家計の心理に悪影響を与えかねないとして、ETFの年間買い入れ額を従来の3.3兆円から6兆円に引き上げた。そのほか高止まりしているドル調達コストを軽減するため、長期と短期のドル資金供給スキームをそれぞれ拡充した。ETF増額には佐藤健裕・木内登英両委員が反対した。

折しも、政府は参院選勝利を踏まえ、経済対策を来月2日に公表する準備を進めている。日銀の追加緩和は政府の経済対策に平仄を合わせた格好。記者会見した黒田東彦総裁は「政府の経済対策と相乗効果が期待できる」と説明した。

<「14年夏まで順調だった」>

黒田総裁はこれまでの量的・質的緩和が「2014年夏ごろまでは順調だった」と述べ、以後は原油価格下落などにより物価の上昇が順調ではない点を認めた。「量やマイナス金利に限界はない」と強弁したものの、9月に政策のモデルチェンジを明示したことによって、持続性に限界のある国債買い入れや、金融機関などの収益悪化要因にもなるマイナス金利の副作用について、検証を進める意向も強調した。

<小出し>

今回の会合では民間エコノミストの8割が追加緩和を予想しており、市場は事前に円安・株高方向の織り込みが進展していた。このため「内容は小出し」(三井住友銀行のチーフストラテジスト、宇野大介氏)などの受け止めから、直後はドル円が一時102円台後半まで円高に振れ、連動して株も一時下げた。

前内閣官房参与の本田悦朗・駐スイス大使はロイターに対して、日銀がETF増額を決めた経緯について「国債買い入れやマイナス金利の拡大では、すでに平坦化した利回り曲線がさらに平坦化し、金融機関の収益に悪影響を与える。それを回避するための選択だろう」と解説した。

(竹本能文、伊藤純夫)

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