三菱自動車「ミラージュ」の誤算 「リコール問題」以前から国内販売に漂う暗雲

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2012年12月25日。クリスマスイブから一夜明けた朝、リコール(回収・無償修理)に対する消極的な対応や不誠実な報告などを受け、国土交通省は三菱自動車への立ち入り検査を行った。

00年と04年の2度に渡る「リコール隠し」問題で窮地に陥った三菱自にとって、今回の問題は再び消費者離れを起こしかねない出来事だ。13年以降、国内販売の減速を招く可能性がある。

一方、このリコール問題とは別に、三菱自の国内販売にはそもそも暗雲が漂っていた。満を持して投入した“戦略車”が、想定外の苦戦を強いられていたのだ。12年8月下旬に投入されたエンジン排気量1000ccのコンパクトカー「ミラージュ」である。

「タマ不足」響き国内販売シェアは最下位

トヨタ、日産、ホンダ--。世界にも通用する強豪メーカーがひしめく日本の自動車市場において、近年、三菱自は精彩を欠いてきた。軽自動車を含む2011年度の国内シェアは3.5%と国内乗用車メーカー最下位。その要因の一つが新型車の「タマ不足」だった。

ミラージュが発売されるまで、三菱自の国内販売網には「アイミーブ」や商用の「ミニキャブ・ミーブ」といった電気自動車(EV)を除き、独自開発の新型車が長らく投入されていなかった。その期間は2年半にも及んでいた。

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