「原爆投下」を阻止できる可能性はあったのか 太平洋戦争「最大のイフ」を検証する

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広島の「原爆死没者名簿」に記載されている数は、2015年8月現在で、29万7684人にのぼる(写真:大隅 智洋)
第二次世界大戦末期、広島と長崎に原爆が投下された。
戦後70年を過ぎても、いまだ国内外で被爆による後遺症に苦しむ人々が存在する一方、核兵器の開発、実験は今日なお世界各国で続けられ、核の脅威は縮小どころか増大の一途をたどるばかりだ。
では、日本はその「原爆投下」を阻止できる可能性はあったのか。じつは、「もし」アメリカ本土から原爆を輸送した軍艦を撃沈できれば、8月6日と9日の原爆投下はなかった可能性がある。今回は、そんな「知られざる戦争秘話」を紹介したい。
日本史といえば、作家の佐藤優氏が「座右の書」として外交官時代、肌身離さず持ち歩いていた「伝説の学習参考書」が、全面改訂を経て40年ぶりに『いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編』『いっきに学び直す日本史 近代・現代 実用編』として生まれ変わり、現在、累計15万部のベストセラーになっている。
本記事では、同書の監修を担当し、東邦大学付属東邦中高等学校で長年教鞭をとってきた歴史家の山岸良二氏が、太平洋戦争「最大のイフ」を検証する。

日本は、原爆の投下を「回避」できたのか

佐藤優氏が30年間、たえず読み返してきた「座右の書」であり「最高の基本書」。「伝説の学習参考書」と呼ばれる『大学への日本史』が読みやすくなって、しかも最新情報で新登場!

もし織田信長が本能寺の変を脱出していたら、もし関ヶ原の戦いの勝者が東軍の徳川家康でなく西軍の石田三成だったら、いまの日本はどうなっていたか――。

歴史にはそんな「イフ(if)」が数多く存在します。

第二次世界大戦末期、広島と長崎に投下された原爆についても、「もし日本の潜水艦がもう少し違う行動をとっていたら、アメリカは原爆を投下できなかったかもしれない」と言ったら驚かれるでしょうか。

原爆をアメリカ本土から運んだ船は、その帰途、日本の潜水艦によって撃沈されました。もしこれが「帰途」ではなく原爆を積載した「輸送中」であれば、あの悲劇は起こらなかったかもしれないとも言われています。

今回は、原爆投下は「本当に」回避できたのか、あらためて検証してみたいと思います。

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