就職するならコンサル? ベンチャー? 成長スピードが速いのはどちらか

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コンサルではハーバードMBAより新卒プロバーが優秀

最後にまとめますと、新卒の方が本気で自分の成長スピードを加速させたいのであれば、200人規模になったようなベンチャーではなく、多くても50人以下のベンチャー企業で自分を追い込んで少しでも経営にかかわるようにすべきです。人はあっと言う間に年をとるので早いに越したことはありません。

またコンサルタントの立場から経営にかかわりたいのであれば、「この人から思考法、知識、人脈をすべて盗んでやる」という師匠を決めて小さなファームにいくのもいいでしょう。そうでなければトレーニングおよびキャリアパスがシステム化されたファームで、修行僧のように24時間頭を使って働くのもいいでしょう。

エスタブリッシュされたコンサルティングファームでは、27歳の新卒プロパーとハーバード大学のような有名海外MBAを経て30歳でコンサルティング業界以外から入ってきた人を比較すると、新卒プロパーのほうがずっとできるのが普通です。

なぜなら22歳で初めて入った会社で、「君は1時間いくらだと思ってるんだ?」や「バリュー出してる?」と言われ続けると、やはりそれに適応したプロフェッショナルになるためです。そういう意味では思考の基礎をつくるために新卒でコンサルティングファームに入るのも悪くはありません。

一方でそうしたキャリアパスを選んだ場合、人生のかなりの時間を、学び、働き続ける覚悟が必要です。自分が商品として売れるかどうかがすべてだからです。そしてそのキャリアパスにおいて、転職しても日本の財閥系一流企業の役員になれる可能性は現在の日本においてはありません。そこは新卒プロパーが支配する世界であり、後々に転職したとしてもその世界では二級市民だからです。

質問者の方は休学を数年したために、日系大手でキャリアを積むことに危機感を感じているとのことですが、心を自由にして、数年どこかに勤めた後に起業したり、新興国に身を投じてもいいでしょう。いわゆる学歴エリート、新卒プロパーの世界で生きていけないと考えるのであれば、カオスの中でより多くの経験をしたほうがビジネスパーソンとしての生存確率は高まります。

どこに就職するにせよ、数年間は死ぬ気で学んで社会人の基礎をつくりましょう。学生時代に少し差がついても、社会に出て本気で学び続け、成長し続けることができる人は少ないので、どんどん追い抜き置き去りにすることはそれほど難しくないものです。

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塩野 誠 経営共創基盤(IGPI)共同経営者/マネージングディレクター JBIC IG Partners 代表取締役 CIO

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しおの まこと / Makoto Shiono

国内外の企業への戦略コンサルティング、M&Aアドバイザリー業務に従事。各国でのデジタルテクノロジーと政府の動向について調査し、欧州、ロシアで企業投資を行う。著書に『デジタルテクノロジーと国際政治の力学』(NewsPicksパブリッシング)、『世界で活躍する人は、どんな戦略思考をしているのか?』(KADOKAWA)等、多数。

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