スクエニ、黄金タッグの誤算 12年度決算は合併後最悪水準に

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アミューズメント機器は、12年6月に発売した「超速変形ジャイロゼッター」が最大の誤算となった。車がロボットに変身した形状の筐体で、車の運転やロボット同士の対戦ができる挑戦的な製品だったが、認知度が高まらず機器販売、運営収入ともに振るわなかった。

予断許さない営業赤字への転落

問題は残る第4四半期だ。

2月にニンテンドー3DS向けに発売した「ドラゴンクエスト7 エデンの戦士たち」が想定を超えるスピードで100万本を突破したことは明るい材料。12年11月からグリー向けに「ファイナルファンタジー アートニクス」を提供しており、ソーシャルゲームの課金収入拡大も期待できそうだ。13年3月欧米向けに投入する「トゥームレイダー」で400万本強の初期出荷販売を見込む。

だが、「トゥームレイダー」については既に今期2作の大型タイトルが空振りに終わっているため、楽観視できない。欧米のパッケージゲーム市場は、アクティビジョンの「コールオブドゥーティ」、マイクロソフトの「ヘイロー」、ユービーアイソフトの「アサシンクリード」など大型タイトルの寡占化が顕著に進んでおり、その影響は免れない。

日本勢として期待されたカプコンの「バイオハザード6」(12年10月)も、当初計画から下振れを余儀なくされている。

来期満を持して投入する新生「ファイナルファンタジー14」
 
ファイナルファンタジーXIV
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通期計画の達成には、第3四半期まで赤字が残る主力のゲーム関連のセグメントで第4四半期に142億円の営業利益を稼ぎ出す計算になるが、その牽引役は見当たらない。通期で損益トントンを目指すアミューズメント事業については、「超速変形ジャイロゼッター」の改善が望めず、営業赤字で着地する公算だ。

第4四半期が、スクエニの想定通りにいかず苦戦を強いられ、仮に通期で営業赤字となれば、スクウェアとエニックスが合併した03年4月以来初めてとなる。最終赤字となれば、「ファイナルファンタジー14」の躓きにより大型特損を計上した11年3月期以来で、合併後2回目となる。

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