サッカーの天才、クライフに学ぶ”遊び心” ぶっ飛んだ発想が生まれるワケ

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また、クライフは試合で4−0など大差をつけてリードしているときは、「シュートをゴールマウスのバーに当てて、観客を楽しませるべき」と考えている。「4−0を5−0にするよりも、バーに当てた方が観客にとって魅力的」というのが理由だ。

ルールを課されようが、真剣勝負の試合だろうが、遊び心を忘れず、自分自身が楽しむのがクライフ流である。

クライフと本田圭佑の共通点

日本サッカー界を見ると、本田圭佑がこれに近いことを実践している。本田は“まわりを驚かす”ことをつねに意識していると言う。

「サプライズは自分の性格の一部。身近な人間であればあるほど、驚かすことにこだわっている。たとえば家族に対して、毎回サプライズを与えたりしているよ。父親にだったら、『自分の息子はこういう人格だ』って思っている上をつねに行きたいって思っているし。『いつまで経っても読めへん』というのは、最高の褒め言葉。それをトライしているわけやから。慣れられたくない。飽きられそうだし」

帰国するときは必ず個性的なファッションで空港に登場し、出発の際に真っ赤なフェラーリで現れたこともあった。昨年5月には日本代表における背番号を突然「18」から「4」に変更して、メディアやサポーターを驚かせた。つねに見ている人たちを楽しませようとする遊び心が感じられる。

余裕がなければ、遊び心は持てない。逆に、遊び心を持とうとすれば、余裕とユーモアが生まれる。さらに運が良ければ、ぶっ飛んだ発想も一緒についてくるかもしれない。

木崎 伸也 スポーツライター

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きざき しんや / Shinya Kizaki

1975年東京都生まれ。中央大学大学院理工学研究科物理学専攻修士課程修了。2002年夏にオランダに移住し、翌年からドイツを拠点に活動。高原直泰や稲本潤一などの日本人選手を中心に、欧州サッカーを取材した。2009年2月に日本に帰国し、『Number』『週刊東洋経済』『週刊サッカーダイジェスト』『サッカー批評』『フットボールサミット』などに寄稿。おもな著書に『サッカーの見方は1日で変えられる』(東洋経済新報社)、『クライフ哲学ノススメ 試合の流れを読む14の鉄則』(サッカー小僧新書)など。

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