サッカーの天才、クライフに学ぶ”遊び心” ぶっ飛んだ発想が生まれるワケ

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発する言葉も個性に溢れており、「美しく敗れることを恥と思うな」「どんな欠点にも長所がある」「下手な選手もうまく見せることができる」といった数々の名言を残している。

だが、天才すぎるがゆえに、日々の振る舞いはお手本にならないことが多い。むしろ見習わない方がいいことがたくさんある。

1974年W杯の大会中には、宿泊していたホテルのプールでファンの女性たちと朝まで飲み明かしたことを大衆紙にスクープされてしまった。決勝で西ドイツに敗れたのは、妻に連日、国際電話で釈明しなければいけなかったことも一因と言われている。

イタリアの高級靴を扱うショップの経営に手を出して失敗したり、養豚場の投資話にそそのかされて大損したり、ビジネス感覚も乏しい。

監督を罠にはめる

とはいえ、すべてを真似しようと思わなければ、参考になることもある。

クライフは、仕事をするうえで常に「遊び心」を忘れなかった。

オランダのアヤックスで若手選手だったときのことだ。クライフは遅刻の常習犯だったために、アヤックスを率いていたミケルス監督は夜間外出禁止令を出した。

普通の選手であれば、嫌々従うか、後先考えずに反抗してルールを破るかのどちらだろう。しかし、クライフは違った。逆にミケルス監督を罠にはめたのだ。

ある夜、ミケルスが抜き打ちでチェックしに来ると予想して、クライフは自分の車をあえて自宅から離れたところに駐車した。ミケルスは車がないことから、外出していると判断。母親に注意を伝えてもらうために、クライフの家のドアをノックした。すると、しっかりクライフはベッドの上で寝ていたのである。

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