ジョブズ2世、スマホで決済革命に挑む わずか2センチの端末が決済を変える

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ドーシーがスクエアを立ち上げたのは2009年。きっかけは友人のガラス職人、ジム・マッケルビーからの一本の電話だった。「ジムの作品を買いたいという相手がカードしか持っておらず、決済できないがために販売機会を逃したと愚痴っていた。そのとき互いにアイフォーンで話していて、ひょっとしたらこれで何かできるんじゃないか、という話になったんだ」。

工作ショップ生まれの 無料カードリーダー

プログラマーでもあるドーシーは、さっそく決済ソフトウエアの開発を試みるが、これが簡単にはいかない。そこで、「ハードウエアの知識もないのにできるわけがない」と消極的だったドーシーを尻目に、マッケルビーはサンフランシスコの工作スペースに通い始める。専用端末の試作に取り組むためだ。そこで助けを借りながら徐々に腕を上げ、1カ月もすると試作品を完成させた。

新規参入のスクエアが事業を軌道に乗せるためには、「とにかく決済のボリュームを膨らませることが必須だった」。そこで同社はリーダーを無料で提供、カード利用の手数料も利用額の2.75%(または月額275ドルで使い放題)と、最大約5%程度徴収するほかのシステムより安く抑えた。

リーダーを無料にして手数料を抑えるには、スクエア側の初期投資を含む開発、生産費用を安価にとどめる必要があった。かつてなら素人がハードを手掛けるには大きな費用が必要だっただろう。が、スクエアではマッケルビーが工作スペースで素早く試作。当初の量産は中国・深せんのPCHインターナショナルが担当し、低コストでビジネスを立ち上げることができた。

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