「ネット企業の草分け」ヤフー、ついに終幕 中核事業をベライゾンに売却

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 7月25日、ベライゾン・コミュニケーションズは、ヤフーの中核事業を、現金48億3000万ドルで買収することで合意したと発表した。両社のロゴ、ヤフーは2012年スイスで、ベライゾンは今年米サンディエゴで撮影(2016年 ロイター/File Photos)

[ニューヨーク 25日 ロイター] - 米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ.N>は、米インターネット検索大手ヤフー<YHOO.O>の中核事業を現金48億3000万ドルで買収することで合意したと発表した。

長引いていた売却プロセスに終止符が打たれ、ネット企業のパイオニア的存在としてのヤフーの時代に幕がおろされることになった。

ベライゾンは今回の買収によって、デジタル広告やメディア事業を拡大したい考え。

ヤフーは中核事業の売却完了に伴い事業会社としては経営を終了し、ヤフー・ジャパン<4689.T>の35.5%株式と中国電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング<BABA.N>の15%株式を保有する持ち株会社となる。

売却完了は2017年初めの見込みで、株主や当局の承認を得るまでは独立企業にとどまる見通し。その後は社名を変更し、上場投資会社となる計画。ヤフー幹部によると、売却完了時に受け取る48億ドルと現在保有している現金77億ドルは、株主に返還する方針。

ヤフーのマリッサ・メイヤー最高経営責任者(CEO)は「中核事業の売却を通じアジア株式資産を効果的に分離することは、ヤフーの株主価値を明らかにする重要な一歩となる」と語った。

メイヤー氏は投資家との電話会合で、売却手続きの完了まではヤフーにとどまる意向を示したが、統合後の会社を統括するとみられるベライゾンのマーニー・ウォールデン氏はCNBCに対し、指導部の陣営はまだ決まっていないと述べた。

ベライゾンは今回の事業買収によって、ヤフーの「ブライトロール」や「フラーリ」といった広告技術に加え、検索やメール、メッセンジャーなどの資産を活用し、昨年44億ドルで買収したAOLと一体化したネット関連事業の拡充を目指す。

ベライゾンのウォールデン氏は、ヤフー事業買収によって契約者の規模が百万単位から十億単位に拡大するとの見通しを示している。

米株式市場午後の取引で、ヤフーは約2.4%安、ベライゾン株価は小幅安でそれぞれ推移した。

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