シェール革命で世界はどう変わるか【下】 中部電力、大阪ガスの輸入戦略を直撃

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中部電力では17年から輸入できたとして、仮に今の米国のガス価格が続けば10ドル程度(100万英国熱量単位)で輸入できるという。現在の平均輸入価格が16~17ドル程度なので、3割以上安くできる。

中部電力の年間消費量は1300万トンに上るため、米国からの輸入予定量である年間220万トンはその17%程度に相当する。現在、中部電力ではスポットを含めて輸入量の65%をカタールに依存しているが、米国からの輸入開始により「他のプロジェクトでの交渉カードになり、目に見えない全体のコストを下げる効果が期待できる」(佐藤氏)と見ている。

両社は液化子会社への出資も検討

大阪ガス、中部電力の両社はさらに、フリーポートの液化子会社に出資することも視野に入れ、今後デューディリジェンス(買収時などに、その投資対象 の価値やリスクを調査・分析すること)を行う。ガスを自ら調達し、自ら液化することで「LNGの買い主が生産者になる。これまでアンタッチャブルだった領 域に入っていくことで知見を蓄積したい」と中部電力の佐藤氏は話す。今のところ出資割合は、両社合わせて2~5割程度を考えているようだ。

両社は以前からLNGでの共同調達やガスパイプラインの共同運営などで接点があったが、業界内では、比較的積極果敢なカルチャーという点でも一致する。商社を介さない、買い手のプロジェクト直接参画がどう実を結ぶか、大いに注目される。

中村 稔 東洋経済 編集委員
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