人気の北朝鮮製タブレットPCを触ってみた! 実は北朝鮮はIT大国だった!?

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アイコンは、学習用だけあって、北朝鮮国内で小学生らが学ぶ教科書の名前が書かれたものがほとんど。「小学校教材」「中学校教材」や「不滅の歴史」とのタイトルがつけられた歴史教科書などもある。「小学校教材」をクリックすると、「国語」や「国語文法」、「数学」と日本でも一般的な教科書のすべてのアイコンが表示され、学校でも家庭でもこのタブレットPCを使えば学習できるようになっている。操作性などは、日本でも販売されているタブレットPCと遜色はない。

北朝鮮らしい科目の教科書もある。注目されるのは「社会主義道徳」と名づけられた教科書。ここにはすでに、「きょうは、敬愛する金正恩元帥が人民軍隊を率います」といった金正恩第1書記に関する記述もあった。

ユニークだったのは、「漢字」の学習するソフトもあり、なかには日本語で意味も記されていた。これは中国製のソフトをそのまま入れたものと思われる。

3機種が普及、価格は100~260ドル程度

朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)の機関誌「朝鮮新報」によれば、北朝鮮製タブレットはすでに2012年9月24~27日に平壌市内で開かれた「平壌秋期国際商品展覧会」で出品されている。朝鮮コンピュータセンター(KCC)がつくる「三池淵」(三池淵は北朝鮮北部の景勝地)、平壌技術総会社(PIC)の「アリラン」、アチム・パンダ合作会社の「アチム」(朝鮮語で朝という意味)の3種類が上市されているという。値段も、最も安い機種が100米ドル、高くても200~260ドルだと「朝鮮新報」は伝えている。

また同紙によれば、タブレットPCの購買層は教育現場にいる学生などが中心で、そのため教科書や各種学習参考書ソフトを搭載しているという。すでにこれらタブレットPCを小脇に挟みながら、どこでも学習する光景が見られるようだ。

日本に流れてくる北朝鮮情報で判断すると意外かもしれないが、北朝鮮のIT技術は以前から蓄積されている。すでに2000年前後当たりから、前出の朝鮮コンピュータセンターを中心に、ソフトウエアの開発に取り組み、ワープロソフトや翻訳ソフト、囲碁などの娯楽ソフトに至るまで、西側のソフトと遜色のないものが北朝鮮国内で普及している。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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