「努力が空回りしている人」の残念すぎる思考 「手段」と「目的」が入れ替わっていませんか

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「強迫性障害」という病気があります。無意味だと知りながら、何度も同じ言動を繰り返し、苦しくなったり、次の行動に移れなくなったりして、生活に大きな支障をきたす症状です。

過度のストレスで引き起こされる「強迫観念」

強迫性障害は、本人の意志とは関係なく不快感や不安感を生じる「強迫観念」と、一日に何十回も手を洗ったり、あるいは何十分も手を洗い続けたりする洗浄強迫や、家の戸締りや電気の消し忘れが心配になって何度も家に戻る確認強迫などを引き起こす「強迫行為」からなっています。

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これらは、自閉症などの発達障害を持つ人にも見られる症状ですが、過度のストレスにさらされることによって引き起こされます。

何事もやりすぎてしまう人は、ストレスがたまった結果、小さな強迫観念が生じて視野が狭くなっていると考えられます。こうして、物事を総合的に判断したり、ほどよいところで切り上げたりできなくなってしまいます。

米国のマイクロソフト社を例に挙げましょう。彼らは一つひとつの細かな課題で100点を目指さずに、とりあえず60~70点を一応の合格点とし、そこをクリアしたら次に進むという文化が定着しています。

そして、修正点が見つかったら、あとから直せばいいと考えています。

これは何事にも共通する、作業を効率的に進める方法です。努力が空回りして結果に結びついてこなかった人は、70点主義に切り替えてみることから始めてみると良い方向に回り始めるかもしれません。

西脇 俊二 精神科医/ハタイクリニック院長

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にしわき しゅんじ / Syunji Nishiwaki

精神科医。弘前大学医学部卒業。国立国際医療センター勤務、国立秩父学園医務課医長などを経てハタイクリニック院長に就任。テレビドラマの医事監修者としても活躍。『なぜ一流の人はストレスが溜まらないのか』『人生は0.2秒で変わる 精神医学的に正しい絶対的な力の使い方』『断糖のすすめ 高血圧、糖尿病が99%治る新・食習慣』など15冊以上もの著書がある。

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