「い・ろ・は・す」を20億本売った”女マネ” 新世代リーダー 小林 麻美 日本コカ・コーラ マネジャー

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チームは小林さんと上司、同僚の3人。「実際はもっとたくさんの人がかかわっています。ブランドの立ち上げは、ゼロベースから始まりました。技術やCSR(企業の社会的責任)など、さまざまな部門から30~40人を集めたワークショップを開いて意見を出してもらい、プロジェクトを進めていきました」

何はともあれ、味がおいしくなくてはいけはい。輸入水に人気が集まる中で、チームメンバーは日本人の口に合うおいしい水を追求することにした。そこで、日本の名水地から5つの水源を厳選し、消費地に近い採水地から供給することを決定した。だが、「おいしいことは絶対に必要ですが、おいしいだけでは消費者に伝わりません。今までになかった強いコンセプトを提案しなくてはいけない、と考えていました」

 そこで技術部門から提案されたのが、PETボトルだった。従来型より4割も軽い、国内最軽量の12グラム(500ミリリットル)を達成できるという。「圧倒的な軽さを実現しながら、飲みやすさを保つことは高度な技術がなくてはできません。これは絶対に使いたいと一目で思いました」。

もう1つのコンセプトは、CSRチームから提案された。「環境」だった。「09年当時、環境に対する意識は少しずつ変わってきているということが分かってきました」

すでに、おしゃれなエコバックを使う女性が増えたり、「エコ」や「環境」をうたったロック・フェスが登場したりしていた。「従来の環境活動といえば、きまじめで堅苦しく、我慢が必要というイメージでした。若い世代を中心にそういった意識は徐々に変わり始め、かっこよく、楽しく環境問題を活動できる場が注目を集めていました。しかし、当時はまだ、エコポイントなどの制度などはなかった。エコを実践できる場が少なかったのです」

超軽量ボトルを使うこと、環境をキーワードにすること。「これは、従来とは違った新たなブランドになる」。そんなワクワク感がチームにはただよっていた。

次ページ発売半年前まで、ブランドの名前も決まっていなかった
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