短期的な物色偏重か、長期的な日本株変調か 日本株「夏枯れ相場」を覆すための条件とは

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日経平均は6日続伸。ソフトバンクの大幅安はあったが、任天堂の活況が続いている

世界的なゲームの人気を背景にした成長期待の買いが市場を賑わしている。19日の東証1部売買代金は約3兆円に対して、ゲーム関連株の1銘柄で7000億円超と市場全体の約23%を占めた。同銘柄の時価総額は4.5兆円まで拡大、2週間足らずで2倍超に跳ね上がった。テクニカル面からみると、長期投資家の損益分岐点といわれる200日線から80%超も上放れている。足元の株価は買われ過ぎの水準に達し、いったんスピード調整することも想定される。

例年7~8月の東京株式市場では夏枯れ相場の傾向がみられる。決算発表が一巡したのち、海外投資家や機関投資家は夏休みに入り、積極的な売買を手控える。今年はリオ五輪が開催(8月5日~)されることから、商いが細り気味になりそうだ。足元は活況相場となっているものの、短期的な物色の偏重にとどまれば、市場全体の押し上げ効果は限定的となろう。

なお、東証1部の一日当たり売買代金は2016年5月が2.05兆円、同6月が2.06兆円と薄商いが続いていたが、同7月(19日時点)が2.29兆円と復調傾向がうかがえる。前述の個別銘柄中心に物色の裾野が広がり、例年の夏の閑散相場を覆す変調の兆しかもしれない。まずは海外投資家が日本株を見直し、今後買い越し基調に転ずるのか注目したい。

信託銀行が下値を買い支えている

信託銀行が日本株の下値を買っている。信託銀行経由といえば年金資金による買い、日銀による上場投資信託(ETF)の買い、企業による自社株買い等が挙げられる。6月下旬~7月上旬にかけて、英国の欧州連合(EU)離脱決定や伊銀行の不良債権問題等から投資家のリスク回避姿勢が強まり、ドル円は一時99円台までの円高が加速した。日経平均株価も一時1万5000円を下回り、東証1部時価総額も450兆円まで縮小していた。

ただ、東京証券取引所が発表している投資主体別売買動向によると、信託銀行が7月第1週(4~8日)まで10週連続で買い越している。足元の東証1部時価総額は500兆円前後まで急回復してきた。名目国内総生産(GDP)1倍を下回る局面では、信託銀行が日本株を買い支えていたといえる。

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