グルメで世界へ!O2Oベンチャーの挑戦 ソーシャルグルメサービス、Rettyのインパクト

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Retty誕生秘話

武田氏がRetty起業に至ったのには、2つの海外での体験が背景にある。まずは、学生時代に旅行で訪れたインドでのこと。

現地の人が大学生の武田氏らに100円をねだってきた。100円は、彼らの生死を左右する金額。多くの人が路上に寝ていた。日本とインドの差は何だろうと、ずっと考え続けた。武田氏の出した結論は、「過去の企業家たちが今の日本を作ってきた、その上に自分は生かされている」というもの。

「自分の限られた人生を通じて、日本をもっと豊かに前進させないと申し訳ない、という使命感が湧いてきた」と武田氏は率直に振り返る。幼い頃から起業したいと考えていた武田氏が決意を固めた瞬間だった。

何千万人に影響を与える仕事をやらなければ、自分の使命を達成できないと武田氏は考える。最終的には、日本だけではなく世界で勝負をし、多くの人の生活を豊かにしたいと武田氏は考えた。

武田氏は、大学を卒業後3年間、ネット広告の代理店でマーケティングや営業を中心に仕事をした後、10年、単身米国に渡る。26歳のときだった。1年間という猶予期間を設けて、徹底的に何で起業すればいいか考えようと思ったのだ。

米国では、1人ノートを片手に1日中考える日々が続いた。米国ですでにあるサービスをそのまま日本に持ってくるつもりは一切なかった。日本と米国の差は何か、米国にあるサービスで日本にない理由は何か、日本が逆に優れていることは何か。週に2個新しいアイデアを出すという課題を自分に課し、40個のアイディアが出てきた。そのうちの1つがRettyだった。

「アメリカが特に進んでいたのは、Facebookの普及率。ごく一般の人が1日中Facebookに張り付いている。これで何が起きるのか、さらにスマートフォンが普及したら何が起こるのだろう、と考えた」(武田氏)。

情報発信者の割合が劇的に増える点に武田氏は目をつけた。ソーシャルメディアやスマートフォンが登場する以前の「食べログ」や「クックパッド」のようなサービスでは、発信する人は0.1%で、99.9%が閲覧するという構造。それが、Facebookの登場で劇的に変わる。さらにスマートフォンの登場が後押しし、一般の人を発信者に変えた。

「発信者と閲覧者の割合が、20%と80%ほどに変化する。サービス構造が大きく変わる。そして、この変化はどの領域から出てくるのか。飲食系からだと思った」と武田氏は話す。

飲食系はもともとネットでの情報発信になじむ。消費者が行動を起こすきっかけになるサービスはすでに存在していた。タイミングとしてちょうど合っていた。世界展開を考えても“食”の領域が最適だと武田氏は判断した。

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