リターンだけ20%高める「魔法の資産運用」 確定拠出年金で効率よくおカネを増やす方法

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つまりこの場合、同じ株式を同じ株数買っていても、NISAという“制度”を使うことで、同じリスクでリターンだけが高くなるということになります。なあんだ、そんなことか、と思われるかもしれませんが、このように“制度”というのは、経済合理性や市場原理を力わざで変更してしまうというパワーを持っているのです。要するにゲームのルールを変えてしまうということなのです。

ゲームで頻繁にルールを変えられてしまうと困りますが、新しいルールができたのであれば、それを上手に活用することで思いがけない利益を得ることもできます。

置き場所を変えるだけで2割以上も儲けが増える!

NISAと同じように、運用した利益に対して税金のかからない「確定拠出年金」という制度があります。NISAとの違いは、長い期間利用できるために結果としてトータルな非課税の上限額が大きいこと、そして投資性商品だけではなく、元本保証の預金などでも使えることです。

そしてもうひとつ、確定拠出年金の特徴は、老後の資金を作るための制度であることから、どんな理由があっても60歳までは引き出すことができないことです。これらの特徴をうまく利用することで、手取りの収益を増やす方法があるのです。それは“おカネの置き場所”を変えることです。

具体的にどうやるのかを考えてみましょう。仮にここにおカネが100万円あったとします。この100万円を定期預金に50万円、投資信託に50万円振り分けるとします。その時、そのおカネをどの制度に使うか、すなわちどこに置くのかを決めます。

たとえば「確定拠出年金の口座」と「普通の金融機関の口座」があった場合、50万円の定期預金を「確定拠出年金の口座」に置き、同じ額の投資信託を「普通の金融機関の口座」に置いたとしましょう。税引き後の手取り額はいくらになるか考えてみます。

ここでは、わかりやすくするために仮に定期預金の金利を0.1%、投資信託の運用利回りを3%とします。「確定拠出年金の口座」に置いた50万円の定期預金は非課税ですから、0.1%の金利がまるまるついて、50万円×0.1%=500円です。これに対して投資信託の50万円は利益に対して20%の税金がかかりますので、50万円×(3%×0.8)=1万2000円です。合計すると1万2500円になります。

この置き場所を逆にしたらどうなるでしょうか。50万円の定期預金を「普通の金融機関の口座」に置き、残りの投資信託50万円を「確定拠出年金の口座」に置くのです。さきほどのケースとは逆で「普通の金融機関の口座」に置いた50万円の定期預金は利息に対して20%の税金がかかりますから、50万円×(0.1%×0.8)=400円です。これに対して投資信託の50万円は利益に対して税金はまったくかかりませんので、50万円×3%=1万5000円です。合計すると1万5400円です。

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