1ドル92円台でヘッジファンドはどう動くか ディーラー歴20年の達人が読む為替

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ヘッジファンドの「手口」とは・・・

この手のオプションは、それこそ25銭刻みに設定されている可能性もあり、それらのオプションが市場に大きな影響を与えている。権利行使価格、たとえば90円75銭に近づいていくと、ドル売りがでてきて、売ったドルを下落すれば買い戻すために、このようなオプションがあると予想されるレートの手前で、レンジ相場を形成する。

実は昨年12月前後にも、ドル円が83円付近で、こうしたオプションの影響が強く出た。昨年12月12日に83円をブレークするまでに81円70銭~82円80銭のレンジ(83円の権利行使価格の手前)を3週間ほど形成した後に83円を上抜けした。

またヘッジファンド勢は、今回のドル円の上昇局面では、真っ先にドル円の買いを仕掛け、政治ネタに強い彼らの特徴を発揮したといえる。日本人は政治ネタに弱いのだが、彼らは政治をネタにして相場を仕掛けることが多い。その時、単純にドルを購入するのではなく、現在のレベルよりも2~3円上のドルを買う権利であるオプションを、2週間から3か月ぐらいの期間内で仕込んでいく。

たとえば今ならば、90円以下の時に仕込んだ90~93円付近のオプションを持っているものと思われる。90~93円でドルを買う権利を持っているのだから、それらの権利行使価格を超えて上昇してくれば、オプション自体を売却したり、ドル売り円買いを行い、利益を確定していく。

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