安倍首相は年内に「衆院解散」をするのか これからの「外遊日程」を見れば見えてくる

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参院選以前には、「安倍首相は衆参ダブル選挙を見送ったが、それでも年内の解散を狙っている」という見方が多かった。しかし参院で「改憲勢力で3分の2」が取れてしまった、ということもあって、やや事情が変わってきたように見える。

解散は先送りに? 

世間一般の見方とは違って、安倍首相は憲法改正にはそれほど執着していない、と筆者は考えている。理由は簡単で、「衆参3分の2の同意を得て改正を発議しても、国民投票で否決されてしまえば内閣総辞職は避けられない」からだ。そして国民投票の怖さは、昨年の「大阪都構想」や今回の「ブレグジット」で十分に学習済み。少なくとも、「9条」にいきなり手を出すような無茶はしないはずである。

とはいえ、本当に衆参3分の2の勢力が得られたからには、この機会をまったく使わないのももったいない話である。民進党と公明党がともに乗れるような話(環境権やプライバシー権など)で改憲の可能性を模索しつつ、解散はなるべく先送りすることになるのではないだろうか。

憲法改正は純粋に立法府の仕事となる。行政府は関与できず、総理大臣も一国会議員としての力しか持ちえない。当面は、衆参の憲法審査会における地道な議論を待つことになるだろう。

その間、安倍首相の頭の中は、この夏の外遊日程で埋め尽くされているはずである。今週末のASEM(ウランバートル、7月15-16日)に始まって、第6回アフリカ開発会議(ナイロビ、8月27-28日)、日ロ首脳会談(ウラジオストック、9月2-3日)、G20首脳会議(杭州、9月4-5日)、ASEAN関連会議(ラオス、9月6日-8日)、そして国連総会(ニューヨーク、9月下旬)と続く。

ええっ? リオ五輪の開会式(8月5日)も行くんですか? その場合、一緒に行く都知事はどなたになるんでしょう? 日本政治は安定しているかもしれないけれども、首都・東京の現状はまったく威張れたものではありませんなあ。

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